2020/03/20

INTERVIEW

名医ディネッシュに聞く!アーユルヴェーダの意味と役割とは?

From Yogajournal Online(Photo by Shoko Matsuhashi)

アーユルヴェーダの本場スリランカで活躍する名医ディネッシュ・エディリシンハ先生と、本誌『ヨガジャーナル日本版』でもお馴染みの人気ヨガティーチャー鈴木伸枝さんが、アーユルヴェーダの本質や活用法をわかりやすくアドバイス。初回は「アーユルヴェーダの意味と役割」についてご紹介します。

「アーユルヴェーダ」の本来の役割とは?

伸枝先生(以下、伸枝):日本では「美容」のイメージが強いアーユルヴェーダですが、本来はどのような意味や役割を持つものなのでしょうか?

ディネッシュ・エディリシンハ先生(以下、Dr.ディネッシュ):アーユルヴェーダとは、サンスクリット語で「生命の科学」という意味です。もう少し具体的にいうと、「より良く生きるための知恵」といったような意味となります。スリランカやインドではそれがさらに発展し、治療と予防医療の2つの側面を持つ「医療」体系の一つになっています。

伸枝:医療行為ということは、ドクターとしての資格取得や、医療としての専門的な知識や技術が必要になると思いますが、アーユルヴェーダーのドクターたちは、どこで学ばれるのですか?

Dr.ディネッシュ:スリランカでは、大学で学びます。ドクターの資格を取得できる大学は、スリランカの中でトップ2のコロンボ大学とキャラニア大学で、大学で5年間学んだ後、病院で1年間研修を受け、トータルで6年間勉強をして、医療の知識と実技を学びます。その間、アーユルヴェーダだけでなく、西洋医学も勉強します。

伸枝:西洋医学も学ばれるのですね! スリランカでは、アーユルヴェーダと西洋医学の2種類の病院があるのですか?

Dr.ディネッシュ:そうです。一般的に、風邪など軽い症状の場合はじっくりと治す地元のアーユルヴェーダの病院へ行き、治療に即効性を求める場合は、西洋医学の総合病院に行く人が多いですね。実際の治療では、アーユルヴェーダと西洋医学のそれぞれの医療の得意分野を生かし、コンビネーションで行われることが多いです。例えば、早急な対応が必要な心臓疾患の患者さんの場合は、まず西洋医学の治療が行われ、その後、アーユルヴェーダで根本的な体質改善を目指します。スリランカの医療の特徴でもあるのですが、医療費が無料なので、ドクターは患者さんにとって、本当に必要な治療を行うことができるのです。

伸枝:すごく理想的! 日本では東洋医学は医療行為として認められていませんが、スリランカでは、それぞれのメリットを患者さんが良い形でチョイスし取り入れることができるのですね。医療費が無料という点にも驚きました。


photo by Shoko Matsuhashi

体・心・魂へのアプローチで心身を健やかに

伸枝:アーユルヴェーダはインドで生まれたものと聞きましたが、インドとスリランカのアーユルヴェーダにはどのような違いがありますか?

Dr.ディネッシュ:考え方やアプローチ法に少しずつ違いがあります。スリランカには、もともと古くから伝わる伝統医療がありました。その伝統医療に、インドから入ってきたアーユルヴェーダがミックスされたものが、現在のスリランカのアーユルヴェーダです。また、宗教的な背景について、インドはヒンドゥー教、スリランカは仏教の国という違いがあり、特にスリランカでは、仏教の教えがアーユルヴェーダの教えと密接な関係にあるのが特徴です。例えば、スリランカのアーユルヴェーダでは、肉を使った食事のメニューがありませんが、これは仏教が殺生を禁じていることに起因しています。アプローチ法では「フィジカル=体」に加え、「メンタル=心」と「ソウル=魂」に働きかけることを重視するのも、スリランカのアーユルヴェーダの特徴です。

伸枝:ひと口にアーユルヴェーダといっても、奥が深いですね。「フィジカル=体」「メンタル=心」「ソウル=魂」へのアプローチが気になったのですが、例えば、アーユルヴェーダのトリートメントでは、どのようにアプローチされるのですか?

Dr.ディネッシュ:トリートメントでは、まず体にアプローチし、全身の血液の流れや循環を良くして肩の凝りや腰の痛みなど体の不調を癒します。体の不調が解消されると、緊張感から解放され、リラックスした気持ちになることから、心へのアプローチへとつながっていきます。そして、心穏やかにハッピーな気持ちで過ごすことで、魂へのアプローチにつながります。今を幸せに過ごすことが、次の人生に良い影響をもたらすと、アーユルヴェーダでは考えます。

伸枝:それぞれ独立しているのではなく、すべてつながっているのですね。日本では美容的な側面がピックアップされがちですが、こうした背景を知っておくと、アーユルヴェーダのトリートメントを受けるときにより深い効果を感じることができそうですね。


photo by Shoko Matsuhashi

名医ディネッシュに聞く!アーユルヴェーダの意味と役割とは?


アーユルヴェーダが目標とするのは子孫を残すこと

伸枝:日本人にはまだまだなじみの薄いアーユルヴェーダですが、日常生活に取り入れると具体的にどんなメリットや変化がありますか?

Dr.ディネッシュ:日本ではアーユルヴェーダはシロダーラ(温めたオイルを額にたらす施術)などトリートメントのみのイメージがあるかもしれませんが、実はヨガや瞑想、食事、飲み薬、また占星術や宝石セラピーなどもその範疇です。そして、いずれもキーワードは「リラクゼーション」です。アーユルヴェーダの食事やトリートメントを行うことで体を中心に深いリラクゼーションが得られ、ヨガや瞑想を行うことで心や魂のリラクゼーションが得られます。日常生活にアーユルヴェーダを取り入れて心身をリラックスできると、予防医療の効果が発揮され、心と体をさらに健やかに整えることができます。

また、スリランカ人にとってアーユルヴェーダは人生そのものです。生まれてから死ぬまで、さらに死の先にも影響しますが、人生の中では「子孫を残す」ことを大切に考えています。アーユルヴェーダが重視する、生命活動の判断基準である「ダートゥ」は、漿(ラサ)、血液(ラクタ)、筋肉(マーンサ)、脂肪(メーダ)、骨(アスティー)、骨髄と神経(マッジャー)、生殖機能(シュクラ)という体を組織する7つの要素で構成されていますが、その最後に「生殖機能(シュクラ)」がくるのは、生殖機能を活発に働かせること、つまり、子孫の残すことがアーユルヴェーダの目標だからです。なので、結婚、出産は人生のキーポイント。結婚をしたら、なにを食べたらいいか、どのように体を整えたらいいかなど、生まれ持った体質を考えながら妊娠・出産に向けて夫婦ともにアーユルヴェーダを活用します。出産後には、子供の育て方についても、アーユルヴェーダのアドバイスを受けます。

伸枝:スリランカの人々にとって、生活に根づいた医療がアーユルヴェーダであり、人生のベースとなる考え方であることがお話をうかがいよくわかりました。次回は、ディネッシュ先生から見た日本人の特徴や、夏から秋にかけて起きやすい不調を緩和するためのアドバイスを教えていただきたいと思います。


photo by Shoko Matsuhashi
(左)Dr.ディネッシュ
国立コロンボ大学アーユルヴェーダ・メディスン&サージェリー卒業。2009 年にジェットウィン グ・ホテルズのアーユルヴェーダドクターに着任。2016 年よりジェットウィング・アーユルヴェーダ・パビリオンズを含むジェットウィングの5つのホテルのアーユルヴェーダ部門のチーフド クターとして、アーユルヴェーダ哲学に基づくバランスの取れたライフスタイルの普及活動、国 内外からのゲストの診療、セラピストの育成活動に心血を注ぐ。

(右)鈴木伸枝さん
指導者養成の講師としても活躍し、1000人以上のインストラクターを輩出。講師育成や、全国のイベント出演、雑誌監修など、活動は多岐にわたる。鈴木伸枝パーソナルヨガスタジオ-Release Space-主宰。instagram@nobue.styleにてヨガの教えをポップな形で日々お届けする、「ヨガモジ365」を配信中。



出典:名医ディネッシュに聞く!アーユルヴェーダの意味と役割とは?
https://yogajournal.jp

photos by Shoko Matsuhashi text by Minako Noguchi

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