2022/09/22

FOOD

旬食材辞典|ホクホク甘い「栗」。実は栄養満点って知ってた?

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心も体も喜ぶ、旬の食材を紹介していく人気連載。栄養素や下ごしらえのヒントなど、ビープル的役立つ情報をお届けします。
今回は秋が旬の「栗」をピックアップ!


ー今月の旬食材ー

秋の味覚として人気の栗。炊き込みごはんやスイーツに用いられることが多いのですが、あまり普段の料理に用いられることは少ないのであまり知られていませんが、実は豊富な栄養素が含まれています。栗は縄文時代の遺跡から見つかった記録もあり、太古の昔から食べられてきた歴史の長い食材でもあります。


栗の主な栄養素は?
ビタミンB1
糖質やアミノ酸の代謝をサポートするビタミンB1。糖質を燃やしてエネルギーに変えるため、白米をメインにしている日本人は積極的に摂りたい栄養素。ほかにも疲労回復や、神経、筋肉の機能を正常に保つ働きを持っています。
タンニン
ポリフェノールの一種であるタンニン。栗の渋皮部分に多く含まれています。タンニンには抗酸化作用があり、血管が老化によってかたくなる動脈硬化対策にも注目されている成分です。老化やガン予防にも役立つといわれています。
ビタミンC
抗酸化作用があり、肌のターンオーバーをサポートする栄養素。ニキビや肌荒れなどのトラブルをケアしてくれるため、女性にはうれしい成分です。
食物繊維
栗は消化吸収されず、腸内にある老廃物の排出をサポートする不溶性食物繊維が豊富。そのため便秘解消におすすめ。また、胃腸にとどまることから、血糖値の急激な上昇をおさえる効果も期待できます。
カリウム
体内にたまった余計な老廃物や水分を排出する働きがあるカリウム。むくみ対策に効果的で、塩分をとりすぎたり、足のむくみなどに悩んでいる人におすすめ。また、カリウムは血圧を正常に保つ働きを持っているため、血圧の上昇を予防するサポート役としても活躍。
β-カロテン
栗の実の黄色は、β-カロテンです。β-カロテンは生活習慣病や老化を促進する活性酸素の働きを抑え、若々しさを維持するのに不可欠な栄養素。また、β-カロテンは、体内で必要量だけビタミンAに変換されます。ビタミンAと同様に、皮膚・粘膜の健康維持や疲れ目に有効です。


栗の栄養素を効率的に摂取する方法は?
ビタミンCは加熱すると壊れてしまうといわれていますが、栗に含まれるビタミンCは、でんぷん質に包まれているため、加熱しても壊れにくい特徴を持っています。
水に触れることで流れ出てしまうこともありますが、その水分ごととれる調理法をすれば、ビタミンCを逃さずいただくことができます。
ゆえに、焼き栗や栗ごはんにしても栄養を逃さず食べられます。焼き栗は皮ごと焼くだけなので外に流れ出る心配はありません。栗ご飯も水分ごと食べられるので、栄養を逃さずいただけます。
また、渋皮に含まれるタンニンを多く摂取するならば、渋皮煮や焼き栗など、渋皮ごといただける調理法がおすすめです。
 
<調理の際に気をつけるポイント>
・3〜4日置くことで甘みが増す
栗は収穫後3〜4日寝かせることで、でんぷんが糖化して甘みが増します。ただ、常温では虫食いの心配があるため、ポリ袋に入れて冷蔵庫のチルド室で保存しましょう。
・むく前に一晩水に浸ける
一晩水に浸けることで、鬼皮がやわらかくなりむきやすくなります。
また、渋皮をむいたあとは10分ほど水にさらしてアク抜きをするようにしましょう。


美味しい栗の選び方
新鮮で美味しい栗を選ぶポイントは、以下の3つ。
・鬼皮にハリと光沢があり、丸みのあるもの
・ずっしりと重みがあるもの
・小さな穴が空いていない
鬼皮に小さな穴が空いていたり、黒ずんでいるものは虫が入っている可能性があるので避けましょう。


栗の鮮度を保つ保存方法
<冷蔵保存の場合>
1. 黒ずんでいたり、小さな穴が空いた栗は取り除く
2. 軽く湿らせたキッチンペーパーで表面についた汚れをふきとる
3. 新聞紙で包み、ポリ袋に入れてしっかりと口を閉じる
4. 冷蔵庫のチルド室で保存

<冷凍保存の場合>
皮をむいてもむかなくても冷凍保存できますが、むいたほうが調理の際に便利です。

〜皮をむいて冷凍保存〜
1.黒ずんでいたり、小さな穴が空いた栗を取り除く
2.栗を水に浸け、冷蔵庫で一晩置く
3.水気を切り、底の部分に切り込みを入れ、そこから先端に向かって剥ぐようにして鬼皮を剥く
4.同様にして渋皮を剥く
5.渋皮を剥いた栗をたっぷりと水を張ったボウルに入れ、10分程度浸けてアク抜きをする
6.水気をよく切り、乾いたキッチンペーパーで拭き取る
7.冷凍用保存袋に入れ、しっかりと空気を抜いて密封してから冷凍保存

〜皮をつけたまま冷凍保存〜
1.黒ずんでいたり、小さな穴が空いた栗を取り除く
2.栗を流水で洗って水気をよく切り、乾いたキッチンペーパーで拭き取る
3.冷凍用保存袋に入れ、しっかりと空気を抜いて密封してから冷凍庫で保存


ホクホクと甘い栗は、美味しいだけでなく栄養がたっぷり。
ただ糖質は低いわけではないので、食べ過ぎには注意を! 1日5〜10個を目安にするのがおすすめ。
主食におかずに、デザートにと、さまざまな食べ方で楽しんでみてください。



<参考文献>
iSDG
ふるさと納税DISCOVERY
旬の食材百科
H2株式会社

Text by Sonomi Takeo

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