2023/08/21

FOOD

【湘南CAFE】鎌倉で愛される、コーヒーショップ&カフェ5選 

新旧が交差する古都・鎌倉という街で愛されるコーヒーショップやカフェをご紹介。
コーヒーの概念を覆す、味わい深いこだわりのコーヒーをいただける店を厳選!地元の人はもちろん、観光の際もぜひ立ち寄ってみて。



日常に彩りを添える、スペシャルな一杯を

Calender
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ゆるりとした空気が流れる街、鎌倉・材木座エリアに位置するコーヒーショップ「Calender」。
オーナーの裕介さんは、前職のコーヒーショップの立ち上げで6年前に鎌倉へ移住。2022年7月に同店をOPENした。
材木座はコンビニもない閑静な住宅街ながら、最近ではひと際センスを感じられる店が少しずつ増えている注目のエリア。ローカルはもちろん、観光客もここで暮らしているかのように、ぶらりと散歩をしながら過ごすのがおすすめだ。
「Calender」はそんな材木座で、ほっとひと息できる憩いの場所になっている。

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アイスコーヒー(770円〜)はワイングラスに。美味しさが増すだけでなく、ストロー不使用なので地球にもやさしい

「“スペシャルティーコーヒーを通じて、すべてのコミュニティへ”を合言葉に、みなさんの何気ない日常に、コーヒーを通じて彩りを届けていきたいと思っています。ただコーヒーを提供するだけでなく、いわばコミュニケーションの着火剤のような交流の起点でありたい。気軽に立ち寄れる場所として、地元と観光の方がふらっと集まって、情報交換する場にしていきたいです」と裕介さん。

仕入れるコーヒー豆のこだわりは人一倍。仕入れ先は一社に絞らず、信頼できる10社ほどから情報を入れながら選定している。上質な豆ゆえの、甘さが際立つ、穏やかな酸味が味わえるコーヒーは、コーヒーが苦手な人さえも常連になるほどの美味しさだ。

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コーヒーの焙煎や抽出は、最終的にカップ一杯を心地よく飲み切れるような酸味のボリュームや濃度に仕上がるようにレシピを考えている

スイーツやデリも、地産地消にこだわったフードを提供。オープン時から提供しているホットドッグは、鎌倉で人気のベーカリー「Bread it be」の全粒粉オリジナルドッグパンを使用し、クラフトソーセージは平塚の「Pure Farm」の肉と塩、砂糖に香辛料のみという旨味をダイレクトに感じられる、コーヒーを邪魔せずに引き立ててくれるシンプルで飽きのこない組み合わせに。

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挽きたての全粒粉を使用したオリジナルのドッグパンに、湘南平塚のクラフトソーセージを挟み込んだ食べ応え抜群なのに飽きのこないホットドッグ 900円

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鎌倉のスパイス専門店の香り高いスパイスを使用したシナモンロールやカルダモンロールも(各550円)。今後は焼き菓子を中心としたスイーツのラインナップも増やしていく予定

また、環境への配慮も追求している。
店舗は電力のみで営業。コーヒーを生み出すエネルギー源には再生可能な自然電力を使用している(現在は山形県の風力発電)。
コーヒー豆のパッケージは100%分解の循環可能なコーヒーバッグを採用。
そのほか焙煎後から発生する炭酸ガスを抜くために、脱気技術“TiMELESS®︎”を採用しているため、既存のプラスチックバルブ取付は不要で、使用後はそのまま土に還すこともできるという徹底ぶり。

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パッケージに使用している生分解性コーヒーバッグは、表面・気密性を保つためのバリア素材が生分解性素材で構成されている

「月一度でもいいので、コンビニやインスタントのコーヒーをやめて、スペシャルティーコーヒーに置き換えてみてください。もしかしたら新しい発見があるかもしれません。コーヒーという側面だけでなく、新しい出会いや、アイディアが生まれるきっかけになることも。そんなコーヒーの楽しみ方を提案できる場にしていきたいです」(裕介さん)

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裕介さんが目指すのは、「街に機能する店」。
一杯のスペシャルティーコーヒーを通じて、新しい湘南の側面を垣間見られるかも。そんな贅沢な一日を過ごすきっかけとして、訪れてみてください。

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住所:鎌倉市材木座1-10-16 Calender
TEL:非公開
営業時間:平日9:00〜18:00、土日祝8:00〜17:00
定休日:月曜日
Instagram:@calender_coffeebar


深煎りネルドリップコーヒーを八幡様のお膝元で
自家焙煎珈琲 Shadore
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昔懐かしいレトロな雰囲気が漂う自家焙煎珈琲「Shadore」は、鎌倉駅東口から徒歩5分ほど、若宮大路沿いの建物2階にある。
観光地で賑わっている通り沿いながら、店内は落ち着いた雰囲気でまさにオアシス。

オーナーの相原さんは、以前四谷にあるコーヒー専門店「猫廼舎(ねこのや)」で淹れてもらったデミタス珈琲を初めて口にした時、「こんな世界があるのか」と今まで味わったことのない甘さに衝撃を受け、その場で「コーヒーの焙煎を教えてほしい」と頼み込み、「猫廼舎」で修行を積んだ。
そして、「この美味しさをもっと広めたい」と同店のオープンに至ったそう。

「当初は都内で物件を探していたんです。その際、知り合いから『鎌倉の不動産屋の物件が空きそう』と連絡が入り、試しに見学しに行きました。その物件までの道は参道で、明るくひたすら気持ちいい。店内には立派な梁と一枚板のカウンター、古木の曲がった柱に真鍮のランプ、大きな窓からは桜が望め、やわらかな日差しが差し込んでいました。見た瞬間、『ここは珈琲屋であるべきだ』と感じて、決めました」と相原さん。

店名の「Shadore(シャドレ)」は相原さんがコーヒーに関する本をいろいろ読んでいて出会った伝記に出てくるお坊さんの名前に由来。コーヒーを初めて焙煎して飲んで、人々に広めたというアラビアのお坊さんの話で、「自分もネルドリップの美味しさをたくさんの人に広めたい」という想いが込められている。

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カウンターの奥に並ぶカップは口当たりの合う有田焼がメイン。ほとんどが譲り受けたものばかりで、中にはアンティークの一点物もあるそうで、どれだけ大切にしていたものかとお手紙をいただいたことも。
「今はこちらでお預かりしているといった感覚でいます。Shadoreが物と物、人と人を繋ぐ場所になれば」(相原さん)
季節に応じて選んだカップで提供していただけるが、リクエストにも応じてくれるそう。

Shadoreが採用しているネルドリップは、起毛している「フランネル」という布を使ったフィルターで淹れる抽出方法。たっぷりとコーヒー豆を使用し、ネルドリップでじっくり丁寧に抽出したコーヒーは、ねっとりとした舌触りで冷めても美味しい、深煎りコーヒーを楽しめる。
また、提供しているスイーツはすべてグルテンフリー。チーズケーキ以外はヴィーガンにも対応している。
濃厚なショコラテリーヌもグルテンフリー&ヴィーガン。何度も配合や材料を試行錯誤し、豆腐が入っているとは思えない重厚さときび糖のやさしい甘さが人気だ。

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インド モンスーン・マラバールAA 900円と濃厚ショコラテリーヌ550円。「ショコラテリーヌは、惚れ薬の材料に使われていたというキャラウェイを最後に振りかけて、食べた方がまた『Shadore』を思い出してくれるように工夫しています」

そして、今年ママになった相原さん。「小さい子どもがいると喫茶店やコーヒーショップに入りづらいのでは」と、ママのためのイベントも企画。乳幼・幼児連れのお客様、ベビーカーOK、授乳や搾乳、ミルクあげも気兼ねなくできるような、「baby in Shadore」を6月に開催。そのほか「金魚の里親会」など、コミュニティの場になるような企画も行っている。
さまざまな趣味を持つという相原さんが考える、今後の企画も楽しみだ。

歴史ある鶴岡八幡宮のお膝元で、コーヒーの逸話とリンクさせながら、ほっと一息深煎りのコーヒーを。疲れを癒やしに、足を運んでみて。

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自家焙煎珈琲 Shadore
住所:神奈川県鎌倉市雪ノ下1-9-29金子ビル202
TEL:046-737-3286
営業時間:12:00〜18:00
定休日:月、金曜日及び不定休
Instagram:@shadore_kamakura


コーヒーだけじゃない、“SOMETHING”な出会いを求めて
SOMETHING’S COFFEE HOUSE
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「ここに行けば何か美味しいものがある。何か楽しいことがある。何かいい体験ができる
何か安らぎ落ち着く」。“何か”は人によって異なるけれど、その何か=“SOMETHING”を汲み取り大事にしていきたい。

そんな想いから、2022年1月にオープンした同店。
江ノ電・極楽寺駅から徒歩2分の場所に位置する店舗は、可愛らしいヨーロッパ調の一軒家。店内には外からやさしい光が差し込み、暖かみのあるウッディな家具が置かれ、まるで友達の家に遊びに来たようなゆったりとした落ち着く空間だ。

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提供しているコーヒーは、世界中に流通しているコーヒー豆のわずか5%ほどの高品質なスペシャルティグレードのコーヒー豆を使用。浅く焙煎することで、生産地のテロワール(その土地の自然や風土)を感じられ、果実のような酸や甘味をしっかり感じられる。

「苦いコーヒーが飲めない方、強く刺激的な酸味によって浅煎りが苦手になってしまった方に飲んでいただけるようなレシピ作りや抽出を心がけています。特にカプチーノは自信を持って飲んでいただきたい一杯です」(オーナー・清水さん)

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カプチーノ650円。現在はデンマーク・コペンハーゲンにあるコーヒーロースター Prolog Coffee とCoffee Collective 、山梨県甲府市にあるAKITO COFFEEの豆を取り扱っている

ナポリタンやオリジナルサンドウィッチなど、小腹を満たすメニューも多数用意。レモネードやクラフトビール、週末限定でナチュラルワインなども飲むことができ、カフェインが苦手でも利用できるのも魅力。
また、フルーティーで甘く、スッキリとした浅煎りコーヒーとのペアリングを第一にしながら考案した、甘さ控えめなスイーツも人気。コーヒーと組み合わせることで美味しさが倍増するような味付け、食感を意識してレシピを考えたそう。

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クランブルレアチーズケーキ650円

また、店舗で使うものは可能な限りサステナブルに繋がることを基準にしている。
持ち帰りのカップや容器にはプラスチック製品は使用せず、エコに重点をおいた素材の製品のものを使用し、店内でも使い捨てストローは不使用。テイクアウトの際もマイカップ持参でドリンクを割引するなど、環境に配慮した取り組みを積極的に行っている。

「今も尚、喫茶店文化が根付く鎌倉には、スペシャルティーコーヒーや浅煎りのコーヒーを出しているお店は多くありません。そんな鎌倉でスペシャルティコーヒーの存在や生産者の想い、浅煎りのコーヒーの素晴らしさを知ってもらえるきっかけになるお店になりたいと思っています」(清水さん)

天気の良い日には、テラス席でのんびり過ごすことも。居心地のいい店内で、たまには日頃の忙しさ、喧騒を忘れてコーヒーを楽しんでみては?

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SOMETHING’S COFFEE HOUSE
住所:鎌倉市極楽寺3-7-16 1F
TEL:非公開
営業時間:10:00〜18:00
定休日:水曜日及び不定休(Instagramのカレンダーを参照してください)
Instagram: @somethingscoffeehouse


ホンジュラスに特化した香り高いコーヒーを味わえる
paso by 27COFFEE ROASTERS
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湘南辻堂の本店「27 COFFEE ROASTERS」が鎌倉・長谷に2022年3月にオープンした古民家カフェ「paso COFFEE ROASTERS」。本店の「27 COFFEE ROASTERS」は創業23年目で、湘南エリアで長い間愛されているコーヒーロースタリー。その新店舗ということもあって、話題となったニューコーヒーショップだ。
昭和初期に建てられた古民家を修繕した趣のある店内では、本店で取り扱うホンジュラスに特化した高品質で個性豊かなスペシャルティーコーヒーのみを厳選して買い付けた豆のコーヒーがいただける。

店名の“paso”は、ホンジュラスの公用語であるスペイン語で、「歩み、歩調」といった意味。

「お店までの道のりをワクワクしながら歩いてほしい。また、みなさんにそれぞれのコーヒーの世界を歩んでいただきたい。そんな願いが込められています。陶芸作家さんにお願いして作成していただいたコーヒーカップを使用しており、見た目だけでなく飲みやすさも配慮しました。お店では庭を眺めたり、お座敷でくつろぎながらコーヒーを楽しめるような空間もご用意しています」(店舗担当/山田さん)

毎朝、豆毎の味のチェックやレシピの見直しを行い、その日最もベストなコーヒーを提供できるような調整もしているそう。コーヒーカウンターではバリスタが、お客様一人ひとりに合わせたコーヒーの提案も。注文が入ってから一杯分のコーヒー豆を挽き、丁寧にハンドリップした香り高いコーヒーを味わえる。

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ハンドドリップ(HOT/ICE)820円〜。生産者のごとにコーヒーの味わいの違いを楽しんでいただけるように抽出。浅煎りはコーヒーがもつ甘さや果実味を楽しめる

店内で提供しているスイーツはすべて、同店のパティシエがこだわって作った自家製。グランドオープンから人気なのは、バスクチーズケーキ。濃厚な味わいながら、コーヒーを邪魔しない絶妙なバランスがやみつきに。

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pasoで一番人気のバスクチーズケーキ550円。程よい甘さとチーズ感がコーヒーと相性抜群

「毎日飲むコーヒーは、人それぞれ様々なこだわりや楽しみ方があると思います。コーヒーの淹れ方、器、飲む空間、時間など、あるいはすべてかもしれません。コーヒーにこだわりを持っている方もいますし、そんなにこだわりを持っていない方もいると思います。pasoは、そんなみなさんのコーヒーライフにそっと寄り添い、はっとする新しい発見、そしてほっとしたひと時を提供したいと思っています。これからもたくさんのお客様に、pasoでのコーヒー体験を通して、ファンを増やしていきたいです。そしてスペシャルティーコーヒーの魅力、特にホンジュラスの生産者が育てたコーヒーのすばらしさを少しずつ知っていただけたら嬉しいです」(店舗担当/山田さん)

テイクアウトできるので、コーヒー片手に近くの海まで散策しても。ワクワクを胸に、個性豊かなホンジュラスの味わいを堪能してみて。

paso by 27coffeeroasters
住所:神奈川県鎌倉市坂ノ下22-6
電話番号:0467-38-5605
営業時間:10:00〜17:00
不定休
Instagram:@paso_by_27coffeeroasters


五感を刺激する鎌倉の新拠点
WITH KAMAKURA
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衣・食・住・遊・働にまつわる新たな体験の場として、鎌倉・長谷に誕生した複合施設「WITH KAMAKURA」。
新緑の庭と岐阜県白川郷から移築された大きな合掌作りの古民家には、カフェ、ショップ、ヨガスタジオ、コワーキングスペース、サウナなどがあり、思い思いの過ごし方ができる。

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「この場所を訪れた時は廃墟でしたが、初めて足を踏み入れた時、何かが始まる予感がしてたまらなく胸が高鳴るのを感じました。築220年という歴史の中で人が集い、暮らしの知恵を重ね合わせ、生活のベースをクリエイトしてきた合掌造の建物。この貴重な日本家屋にもう一度灯りを灯し、ジャンルを超えた個性が集まる場所を作りたい。目の前にいる人と価値観を交わらせることで、心が動き始める。オンラインでは決して感じることができない生身の体験をしてほちい、という考えのもの、WITH KAMAKURAが誕生しました」と語るのはオーナーの佐藤さん。

施設に常設されたカフェでは、南青山に本社を構える「ロハスバーンズ」から焙煎されたコーヒー豆を仕入れている。
さらに、オーガニック、レインフォレストアライアンスの認証、フェアトレードと地球環境や労働者に対してもやさしいコーヒー豆なので、美味しいだけでなく、心地よくコーヒーが味わえる。

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環境においては店内の飲食に関わらず、テイクアウト用のカップなどはプラスチック製のものは使用せず、FSC認証を受けた紙カップや植物からできているストローなどを使用。食器用洗剤や洗濯洗剤、施設内にあるシャワー室のシャンプーやボディソープなども自然由来の原料、製造工程や容器の素材まで、環境に優しいものを使用している。

一緒にいただけるフードは、七里ヶ浜のベーカリー「Pacific Bakery」のパンを提供。ベーカリーの中でも人気のブルーチーズスコーンやマフィンなど、常時4種類を楽しめる(時期によって変更あり)

「古くあるモノ、新しいモノ、どちらも良いところを抽出して鎌倉という地域のハブになる施設づくりを目指しています」(佐藤さん)

ヨガの前後や仕事をしながら、ショッピングついでにと、さまざまなコーヒーの楽しみ方ができる複合施設。庭を望める縁側でボーッと過ごして、癒されるのも乙。五感を刺激する新たなスペースとして、活用してみて。

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WITH KAMAKURA
住所:神奈川県鎌倉市坂ノ下3-7
電話番号:0467-33-5521
営業時間:9:00〜18:00、金曜日のみ10:00〜18:00
定休日:月1回不定休
Instagram:@with_kamakura


鎌倉といえば観光地のメッカではあるものの、まるで暮らしているかのような過ごし方ができる場所が、地元で愛されるコーヒー店。美味しいだけではない、人と人が繋がる場所であり、ほっと一息つける場所であり、自分の世界に浸れる場所でもある。
素材や空間にもこだわるコーヒー店が多い鎌倉。お気に入りのコーヒー店を目指して、一度訪れてみては?

Text by Sonomi Takeo