2023/05/15

FOOD

旬食材辞典|古来では生薬として使われていた「さくらんぼ」の力とは?

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心も体も喜ぶ、旬の食材を紹介していく人気連載。栄養素や下ごしらえのヒントなど、ビープル的役立つ情報をお届けします。
今回は初夏が旬の「さくらんぼ」をピックアップ!


―今月の旬食材―
さくらんぼ
さくらんぼの旬は5月頃〜7月頃まで。主な産地は山形県で、全国の約70%を占めています。さくらんぼは体を温める作用があるため、冷え性の人にはぴったり。また、膀胱炎や尿道炎をはじめとする泌尿器系疾患に効果があることで知られ、アメリカ先住民の生薬として使用されていたとか。中国では唐の時代から咳止めとして使用されていたりと、古代より体に良いものとして、親しまれてきたフルーツです。


さくらんぼの主な栄養素は?
ビタミンE
抗酸化作用が強く、老化防止に役立つ栄養素。新陳代謝を活発にして、活性酸素を除去して酸化を食い止める働きをします。
ビタミンA
目の網膜細胞を守る働きをする作用があります。また、肌を乾燥から守る働きもあるため肌トラブルを起こさないためにも大切な栄養素。他にもビタミンAは消化器官の粘膜を正常に保ち、病原体を侵入させにくくする働きもあるので免疫力を高めます。
カリウム
むくみ対策になるカリウム。体の余分な塩分を排出してくれるため、血圧が高い方におすすめの栄養素。
葉酸
「造血のビタミン」といわれている葉酸。ビタミンB12とともに新しい赤血球を作り出すために必要な栄養素。また、細胞が新しく作られたりたんぱく質の合成時にも重要な働きを担います。
ビタミンC
シミの原因となるメラニンの生成を抑制したり、抗酸化力のおかげで美容効果が高いとされるビタミンC。皮膚や肌に弾力を与える細胞であるコラーゲンの合成に必要不可欠な栄養素です。
鉄分
鉄は赤血球を構成するヘモグロビンの成分として知られています。血液を作るのに欠かせない重要な成分です。
βカロテン
βカロテンは体内でビタミンAに変換されて、皮膚や目を健康な状態に保つために働いてくれる栄養素。βカロテンは抗酸化作用も有しており、体内の活性酸素の発生を抑えたり、取り除いたりする働きも。
アントシアニン
ポリフェノールの一種であるアントシアニンは、目の毛細血管を強化し、眼精疲労や視力を改善する効果が期待できます。強い抗酸化作用があり、活性酸素を取り除いて肌や粘膜の老化を防ぐ効果があるといわれています。


さくらんぼの栄養を効率よく摂取する方法は?
基本的にはそのまま食べることがほとんどですが、βカロテンや鉄などを効率よく摂取するには、油脂と一緒に摂ると吸収効率が上がるため、バターやオリーブオイルなどと一緒に食べるといいです。また、鉄はビタミンCと一緒に摂るとより吸収効率がよくなるため、ビタミンCを多く含むフルーツや野菜などと一緒に食べるのがおすすめ。


美味しいさくらんぼの選び方
さくらんぼは収穫してから追熟しないので、時間が経ってもさほど甘くはなりません。それゆえなるべく新鮮なものを選ぶようにしましょう。
・表面に傷や変色がない
・鮮やかな紅色で艶がある
・粒が大きい
・枝が緑色で太い
などが美味しいさくらんぼを選ぶポイント。

果皮がしなびていたり、実がやわらかくなっていたら鮮度が低下して食味が落ちています。また、傷や斑点、茶色く変色した箇所があるものも避けましょう。


さくらんぼの保存方法
さくらんぼは温度変化に弱いため、常温で売られていた場合は常温で、冷蔵状態で売られていた場合は冷蔵保存しましょう。

<常温保存の場合>
保存容器にペーパータオルを敷き詰め、さくらんぼを洗わずそのまま並べる。詰め込みすぎると傷みやすくなるため、余裕のある大きさを選びましょう。
ペーパータオルで包み、蓋をして置いておけば3日間ほど保存が可能。
<冷凍保存の場合>
表面が傷つかないよう、ボウルに張った水にそっとさらすようにして汚れを軽く流す。ペーパータオルで丁寧に水けを拭き取り冷凍用保存袋に入れ、空気を抜いて密閉し、冷凍庫で保存する。いただくときは、常温において解凍を。


初夏の訪れを感じる代表的なフルーツ。美肌にも効果的で体を温めてくれるので、女性にはぴったり。旬の時期に、甘酸っぱい味わいを存分に楽しんで。





<参考文献>
果物ナビ
H2株式会社

Text by Sonomi Takeo