2022/11/27

FOOD

旬食材辞典|「大根」の辛味成分で年末年始の胃もたれ対策を

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心も体も喜ぶ、旬の食材を紹介していく人気連載。栄養素や下ごしらえのヒントなど、ビープル的役立つ情報をお届けします。
今回は冬が旬の「大根」をピックアップ!


―今月の旬食材―
大根
大根の代表的な品種である、青首大根の旬は、12〜2月頃。旬の大根は甘みがありみずみずしく、やわらかいのが特徴。旬の大根でつくった大根おろしは辛くなりすぎず、美味しくいただけます。
大根はジアスターゼやアミラーゼという消化を助ける消化酵素が含まれているので、胃もたれや胸やけ解消・予防に効果があります。
ちなみに芝居の下手な役者のことを「大根役者」と言いますが、これは大根がどんな調理法で食べても決して食あたりしないことに「当たらない役者」をかけたものだそうです。


大根の主な栄養素とは?
ジアスターゼ(アミラーゼ)
炭水化物(でんぷん)の消化を助けてくれる栄養素。大根おろしをうどんやそばの薬味にしたり、おもちと一緒に食べたりすると組み合わせがよいです。
プロテアーゼ
タンパク質分解酵素で肉や魚を調理する前に大根おろしに漬け込んでおくと、やわらかくする効果が期待できます。
リパーゼ
脂肪の消化を助けてくれます。天ぷらなどの揚げ物に大根おろしを添えるのもそのため。
イソチオシアネート
大根の辛味成分のひとつ。殺菌作用があるので、お刺身に大根の「つま」を添えるのも理にかなった組み合わせ。また、抗酸化作用によって動脈硬化を予防する効果や、抗がん作用としても注目されています。
葉酸
大根の葉に多く含まれている葉酸。葉酸はビタミンB群の仲間で、赤血球をつくるのに欠かせないビタミン。大根の葉には他にも、βカロテンやカルシウムなどの栄養素も豊富に含まれているので、捨てずに食べるようにしましょう。
ビタミンC
体内ではビタミンCを合成できないため、食べ物から摂取する必要がある栄養素。ストレスや感染症に対する抵抗力を高める働きがあります。大根の葉と皮に近い部分に多くのビタミンCが含まれているため、葉も皮も捨てずに食べるのがおすすめです。
カルシウム
骨や歯の形成に重要なカルシウム。大根の葉に含まれるカルシウムは、野菜の中でもトップクラスに豊富だといわれています。
カリウム
塩分のとり過ぎを調節し、高血圧やむくみの解消に効果があるといわれているカリウム。根の部分に比べて、葉の部分には約2倍のカリウムが含まれています。


大根の栄養を効率的に摂取する方法
消化酵素の一種であるジアスターゼは熱に弱く、カリウムやビタミンCは水に溶けやすいので、ゆでると栄養素が流出してしまいます。大根の栄養素を効率よく摂取したい時は、大根おろしやサラダで食べるのがおすすめ。
また、ビタミンCやイソチオシアネートの成分は根の部分より皮の付近に多く存在するので、大根おろしにするときはきれいに洗って、皮ごとおろすのが◎です。
鍋にするなら具材に火が通った時に大根おろしをのせ、ひと煮立ちしてからいただくみぞれ煮がおすすめです。
煮物や味噌汁にすれば、流れ出たビタミン群を余すことなくいただけるので、温かくしたい時は汁物でいただきましょう。

<大根おろしを美味しくいただくコツ>
1. 目の粗い大根おろし器を使用
大根おろしの辛味は、大根をおろしたときに発生するイソチオシアネートが要因。目の粗めの大根おろし器を使用することで、細胞を壊しすぎることなく、辛味を抑えることができます。やさしく円を描くようにおろすのも、辛味を抑えるポイント。
2. 葉の近い部分をすりおろす
根っこの部分に近いほどイソチオシアネートの量が増え、葉に近い部分に比べると約10倍もの量が含まれています。辛味を抑えて大根おろしを作りたい場合は、大根の葉に近い部分を使うとよいです。
3. おろしてから食べるまで時間をおく
イソチオシアネートは、おろした直後が辛味のピーク。辛味が苦手な方は、おろした後に少し時間を置いてから食べるとよいでしょう。ただ、長時間放置しすぎると水分が蒸発してしまい、食感にも影響を与えてしまうため、置き過ぎには注意を。


美味しい大根の選び方
大根を選ぶときのポイントがこちら。
・表面にハリとツヤのあるもの
・持ったときにずっしりと重みを感じるもの
・ひげ根の毛穴が少ないもの
・葉がみずみずしく、色が鮮やかなもの
・カットされている場合は、断面のきめが細かいもの

表面や切り口が乾いているものは乾燥がすすみ、日にちが経ってしまっています。


大根の保存方法は?
葉がついている場合は、葉が根の養分を吸い上げてしまうので、切り落として別々に保存を。
水分たっぷりの大根は乾燥させないことが大切なので、切り口はラップや湿らせた新聞紙などでくるみ、冷蔵庫の野菜室へ。
また、生のまますりおろして冷凍保存もできます。
葉は新鮮なうちにかたゆでし、水気をしぼってからラップに包んで冷凍しておくと、青みがほしいときなどに便利。


暴飲暴食になりがちな年末年始ですが、大根の辛味成分は胃にとって強い味方。
そのほかビタミンやカルシウム、カリウムなどあらゆる栄養素が豊富に含まれているので、みずみずしい冬の大根をたっぷりと堪能しましょう。



<参考文献>
トクバイニュース
旬の野菜を食べよう
旬の食材百科

Text by Sonomi Takeo