2023/12/19

FOOD

意外と知らない!油の種類とその効果・効能って? 

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普段何気なく料理などに使っている油。その種類はさまざまなで、油によって風味も異なるため、いろいろ試して気に入ったものを使ってみましょう。


サラダ油って体に悪い?
「サラダ油は体に悪い」ということをよく耳にしますが、実は「サラダ油」という名前の油はありません。サラダ油にはJAS規格の定めがあり、精製度が高く、低温でも固まったり濁ったりしない油のことで、一般的な商品名ではなく、植物油を総称して「サラダ油」といいます。


食用油の種類やその抽出方法は?
菜種油
菜種油は、菜の花が咲き終わったあとにできる種子が原料。食用の菜種油は、JAS規格で「精製度合」によって分類されます。精製度合が低いものほど菜種本来の風味や香ばしさが強く感じられるものが多いので、なるべく精製度合が低いものを選ぶといいでしょう。
菜種油の特徴は、酸化しづらいので揚げ物などに向いているところ。菜種油をはじめとする「オメガ9」に属する油は、一般的に熱耐性が強く、高温になっても酸化しづらい性質を持っています。

<菜種油よって得られる効能>
菜種油によって得られる効能として、2つの効能が挙げられます。
・心筋梗塞や脳卒中のリスクの低減
・発癌性物質を作りにくい

これは菜種油が持つオレイン酸によるものとされています。
菜種油を選ぶときは、「エルカ酸」の含有量が少ないものを選びましょう。エルカ酸は健康へのネガティブな影響がされています。また、できるだけ遺伝子組み換えでないものを選ぶこと。
そういったものを選ぶことで、サラダ油の代わりとしても使えます。

<菜種油の作り方>
油のほとんどが、圧力をかけて搾る「圧搾法」、溶剤を使った「抽出法」、両方を併用した「圧抽法」の3つから成ります。こだわっている菜種油は、「玉締め圧搾法」で、菜種を石や鉄玉などを乗せて押し潰して作る製法。原料の風味豊かに仕上がります。


オリーブオイル
オリーブオイルは、オリーブの果実から得られる油のこと。
オリーブは世界で1,000種以上あるといわれており、6,000年の歴史があるともいわれていたという逸話も。
イタリア料理やスペイン料理で多用される

<オリーブオイルによって得られる効能>
加熱や化学的な分離をさせずに製造されたオリーブオイルは、ビタミンE、ポリフェノール、葉緑素や植物性酵素が生きたまま含まれていると考えられています。
主に期待できる効果は、
・心臓病予防
・抗酸化作用
・炎症の制御
・腸内環境がよくなる
など。

<エキストラバージンオリーブオイルとは>
高品質なオリーブオイル。そもそもバージンオリーブオイルとは、オリーブの実のみ原料としたもの。そのほかの通常のオリーブオイルに比べて風味や香りが豊かなことが特徴です。また、酸化が起こりづらいため、味が落ちにくく栄養価も低下しづらいオイルです。

<オリーブオイルの作り方>

収穫して洗浄したら、オリーブの実をすり潰してペースト状にしてからカスや水分を取り除き遠心分離法で抽出するのが主流です。搾油されたオリーブオイルは、瓶詰めしていきます。


米油
米油は、玄米を精米してできる米ぬかから生まれた植物油。
玄米由来の栄養素をたっぷり含むので、ドレッシングや生食、加熱調理にもおすすめです。揚げ油として使っても、揚げムラになりづらく、無味なので食材の邪魔をしないのも特徴。

<米油に含まれる栄養素>
・ビタミンE
・トコトリエノール(スーパービタミンE)
・植物ステロール
・γ-オリザノール ・オレイン酸
・リノール酸
オレイン酸には、悪玉コレステロールの値を低下させる働きがあり、リノール酸には血中コントロール値を減らして動脈硬化を防ぐ働きをするといわれています。
また、ビタミンEは抗酸化作用の働きが期待でき、細胞が酸化するのを防ぐといわれています。

<米油の作り方>
米油の抽出方法には、ケミカル製法と昔ながらの圧搾製法があります。圧搾製法だけで米油を摂ろうとすると非常に難しく、良質なぶん高価になりやすいのがデメリット。そこで、圧搾したのち「スチームリファイニング装置」という蒸留・脱酸のための装置を使い、高温・真空状態でニオイや遊離脂肪酸を除去する製法が値段も手頃になりやすく、ノンケミカルなのでおすすめ。


ごま油
香ばしい風味が魅力のごま油。和食をはじめ、中華料理や韓国料理などアジアで多く使用されています。甘く香ばしい焙煎、焙煎せず生のまま圧搾して精製した太白、黒ごまから作られる黒ごまの油、伝統製法で作られる玉締めしぼりなど、さまざまな製法があります。

<ごま油の栄養素>
リノール酸やリノレン酸など悪玉コレステロールを下げる働きがある体にうれしい成分が豊富に含まれています。
・ゴマリグナン
・リノール酸
・オレイン酸
・ビタミンE
・セレン
などの栄養素が含まれており、アンチエイジング効果、動脈硬化予防、コレステロール値を下げる効果、冷え性の解消、抗酸化作用などに効果があるといわれています。

<ごま油の作り方>
圧搾式製法と抽出法の2種類あります。
圧搾式製法は化学溶剤を使わず、圧力だけで油を搾られているので栄養価が高く、ごま本来の旨味を感じやすいというメリットがあります。中でも昔ながらの機械でゆっくりと手間をかけてつくる玉締め圧搾法は、自然に近い形で搾油できます。


ココナッツオイル
ココナッツオイルの一番の特徴として挙げられるのが、「中鎖脂肪酸」。母乳にも含まれるこの脂肪酸は、さまざまな健康効果をもたらすといわれています。
ココナッツオイルは熱にも強いのでお料理やお菓子作りで、いつもの油代わりに使えます。また、コーヒーなどの飲み物に入れたり、ヨーグルトに入れても美味しい仕上がりに。

<ココナッツオイルの効能>
ココナッツオイルは、以下のような効果・効能があるといわれています。
・抗菌・殺菌効果
・抗酸化作用・免疫力向上
・皮下脂肪・内臓脂肪低減効果
・アルツハイマー症状軽減
・善玉コレステロールを増やす
など。

<ココナッツオイルの作り方は?>
・圧搾
生や乾燥させたココナッツを圧搾し液体にします。圧搾にも2種類あって、「高温圧搾」(一気に圧力をかけ高温で圧搾する方法)、「低温圧搾」(酵素が失われない温度で乾燥、圧搾させる)とあります。
・分離
出てきた液体からオイル分を分離させる方法も。ひとつは発酵分離法で、搾り出した液体をしばらく寝かせて発酵するのを待つ方法。発酵させることで酵素が活性化したココナッツの栄養分が守られ、かつ善玉菌が生まれます。
もうひとつが遠心分離法で、機械により遠心分離させることでオイル分に分ける方法。
・濾過
分離したオイル分から不純物を取り除くために濾過。その後精製し、脱臭や漂白をすることも。


ほかにも多くの油がありますが、一般的な油のご紹介をしました。
どんな風味にしたいかどうか、または酸化のしづらさなど、ライフスタイルに合った方法で選んでみてください。また、できるだけ丁寧にこだわった油の製法で売られている商品がベスト。体にとって負担がなく、ケミカルな製法で作られていないものを選び、毎日の食事に取り入れてみましょう。





<参考文献>
まごころケア食
かわしま屋|ココナッツオイルはダイエットにいい?使い方や効果効能を詳しく解説
香川県|オリーブオイルについて
良好倶楽部
かわしま屋|「菜種油」は危険なの?【健康に良い成分と安全な選び方】

Text by Sonomi Takeo