2022/10/15

ORGANIC DICTIONARY

「ウェルビーイング」が今注目されている理由って?

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今、世界中で「ウェルビーイング」という言葉が注目されています。その理由や意味とは? 


ウェルビーイングとはどういう意味?
「well-being(ウェルビーイング)」とは、直訳すると「幸福」「健康」という意味。
厚生労働省によると、この言葉を「個人の権利や自己実現が保障され、身体的、精神的、社会的に良好な状態にあることを意味する概念」とされています。初めて「ウェルビーイング」という言葉が言及されたのは、1946年の世界保健機関(WHO)設立の際に考案された憲章。

その憲章の前文がコチラ。

『健康とは、病気でないとか、弱っていないということではなく、肉体的にも、精神的にも、そして社会的にも、すべてが満たされた状態(well-being)にあることをいいます』<世界保健機関(WHO)協会より引用>

つまり、「健康」は、心身の健康のみを指すのではなく、感情として幸せを感じたり、社会的に良好な状態を維持していることなど、すべてが満たされている広い意味での「健康」である、と解釈できます。


なぜ今ウェルビーイングが注目されているのか?
ウェルビーイングという言葉が注目されている理由として、社会的・政治的な背景などがあります。

効率や利益などを追い求めて優先していた結果、格差の拡大や地球環境の悪化などさまざまな問題が起きました。そこから「モノ」から「心の豊かさ」へと価値観が変化していったことも大きな理由のひとつ。
また、日本では2019年から働き方改革関連法の施行を開始。働き方改革の法案のなかにウェルビーイングという言葉が入っているわけではありませんが、一人ひとりがよりよい将来への展望を持てることを目指したものなので、ウェルビーイングの考え方にもつながります。

さらに新型コロナウイルスの感染拡大。
リモートが普及し、自分らしい働き方を考え直す人も増えてきました。一方でコミュニケーション不足やメンタルヘルスの問題も指摘され、よりウェルビーイングの視点が重要視されるようになってきました。


日本人の幸福度は先進国の中では最下位
2021年に国連が発表した世界幸福度ランキングによると、日本は世界56位。先進国の中では最下位という結果に。
個々の事情に合った働き方ができる労働環境が充分でないことや、ジェンダーや属性で判断されることも多い日本では、ウェルビーイングは今転換的で、重要な社会的な課題と言えるかもしれません。


ウェルビーイングとSDGsとの深い関係
ウェルビーイングは個人が幸せでいいというものではなく、社会や地球環境全体が満たされた状態。地球全体が満たされた状態は何かということを考えた時、世界で掲げているSDGsは必要不可欠。
地球環境を良くすることは、生命にとってのウェルビーイングにつながり、つまりは個人でSDGsを意識することにもつながります。


ウェルビーイングとは個人レベルだけでなく、企業や社会、環境などすべてが関わってくるもの。すべてが満たされて、かつ継続性のある幸福が大切です。
一人ひとりが自分にとってのウェルビーイングを追求して、満たされた自分と社会を目指しましょう。




<参考文献>
WHO協会

Text by Sonomi Takeo