2022/09/12

INTERVIEW

日本生まれハワイ育ちのトミタハンナさん「海を守ろうとする人々のストーリーを届けたい」

アクティブウエアブランド「Kaira Active」オーナーのトミタハンナさんにインタビュー。
ハンナさんは、海に廃棄されている漁網から服を作る活動を伝えるドキュメンタリー制作のためのクラウドファンディングを、5月25日から期間限定で開始。その想いや経緯を語ってもらいました。


―ハンナさんは日本で生まれてすぐ、家族と共にハワイへ移住したそうですね。
「はい。両親は2人とも日本人なんですが、2人がハネムーンで訪れたハワイが最高すぎて、私が4歳の時に移住を決めたそうです。」

―ご両親の行動力がすごいですね!ハンナさんが環境問題に目を向けるようになったのは、やはりハワイで生まれ育ったことが大きいですか?
「そうですね。ハワイは自然が身近にあり、毎日のようにビーチへ遊びにいっていたし、子どもの頃からサーフィンやヨガが大好きでした。海は私にとってスペシャルな場所!いい思い出しかないんです。たぶん危険な場面もあったと思うけど、覚えていないくらい(笑)。そんな環境で生まれ育ったからこそ、『この美しい海を守っていきたい』と思ったのは自然な流れでした。」

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サーフィンは週に1〜2回行くほど今でも大好き

―現在はL.A.在住だと伺いました。
「アリゾナの大学を卒業後、L.A.で就職して、そのままL.A.に住んでいます。在学中に趣味でデザインした水着をポートフォリオサイトにアップしたら、それを見たL.A.のアパレルブランドからお声がけいただいたんです。その会社でファッションデザイナーとして働くことになりました。」

―そこからファッションのお仕事に携わることになったんですね。
「そうです。学校でファッションを学んでいたわけではなかったのですが、イチから教えてくれて。仕事はとても楽しく、やりがいはあったのですが、そこでファッション業界がもたらす環境破壊の現実を目の当たりにして……。とてもショックでした。大量生産がゆえに安い生地を使用し、そのために国外のファクトリーを使用したり、売れ残った在庫は処分しなければならない。そんなこともあって環境問題について真剣に考え始め、『Kaira Active』(カイラ・アクティブ)という自分のブランドを立ち上げました。」

―「Kaira Active」はどんなブランドなんですか?
「ヨガやサーフィン、ランニングなど、アクティブシーン専用のウエアブランドで、2019年にローンチしました。こだわりとしては『ヨガウエア』『サーフウエア』といったカテゴリーで分けることなく、どんなシーンでも使えるようにと考えています。例えば陸でのアクティビティ後に、そのまま海に入れるような一着に仕上げています。どちらにも使えたら何着も持つ必要ないし、サステナブルですよね。
あとは、通常は新作コレクションをシーズンごとに年4回発表するブランドがほとんどですが、『Kaira Active』では売り切れそうになったら、次のコレクションを出すようにしています。小さいブランドというのもありますが、在庫があるのにまた新しいコレクションを出すのは廃棄することにつながってしまうので。」

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水陸両用できる「Kaira Active」のウエア

―素晴らしい取り組みですね。ローンチ後、まわりの反応はどうでしたか?
「購入していただいた方からたくさんのうれしいメールをいただきました。たとえば海の研究している女の子が、『ボートに乗るときに着ています!』というコメントをいただいたり。スポーツだけでなくさまざまなシーンで活用してもらっているみたいで、とてもうれしいです。また、以前ハワイでサーフィンしていた時に、隣にいたサーファーの女の子がKairaの水着を着てくれていたんです! これも感動しました。」

―サステナブルなだけでなく、女の子たちが「着たい」と思えることが大事ですよね。
「そうですね。デザイン性だけでなく、着心地なども大事にしています。ウエアにはすべて、『エコニール』という素材を使っています。このエコニールは、イタリアの素材メーカー・アクアフィル社が開発した素材で、漁網やプラスチックごみなどのナイロン廃棄物を100%リサイクルして作られた再生ナイロン。エコなだけでなく、クオリティに優れていて肌触りはやわらかく、しかも吸水生や速乾性にすぐれています。エコニール素材は、大手のアパレルブランドからもすごく注目されていて、使用しているブランドは増えているみたいです。」

―漁網の放棄や放流も、問題になっていますよね。
「漁網は漁船から捨てられ、回収されないまま海中に放流されます。こうした漁網は自然分解しづらく、何百年も海に漂い続けてしまうのが現状です。この漁網を回収しているボランティアダイバーたちがいるのですが、Kairaではこのダイバーたちが所属しているNPO法人に、売り上げの1%を寄付するようにしています。そして今、そういった海を守ろうと活動する人を中心にドキュメンタリーを撮影しているんです。」

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ボランティアダイバーのみんなと

―ドキュメンタリーでは、海の汚染のことだけではなく、守ろうとしている人たちが主役なんですね!
「そうです。ダイバーたちは本当に海を愛していて、好きな海に潜りながらクリーンにもしてくれる。ウエアを販売するだけでなく、そんなストーリーをちゃんと伝えていきたい、と思ったんです。映画は10月には完成予定で、YouTubeなどで見られるようにします。日本の方にもぜひ見ていただきたいので、翻訳もつけたいと思っています。」
ドキュメンタリー制作クラウドファウンディングのリンクはコチラ

―ドキュメンタリーを制作するにあたって、スタッフはどう集めたんですか?
「みんなお友達です。私と同じく、海が大好きな人たちばかり! 制作チームも、海を守るアクティビストです。」

海を愛し、海洋汚染から海を守る活動、発信を続けているハンナさん。
それは決して義務感ではなく、大切なものを守りたいという愛しい気持ちから。海や自身のブランドを愛し、愛が溢れるハッピーオーラを放つハンナさんだが、L.A.でのライフスタイルは、どんな生活なのだろうか。

―ハンナさんの現在のライフスタイルについても伺わせてください!ハンナさんがウェルネスのために意識していることはありますか?
「サステナブルな観点でいうと、マイボトル、マイバッグは持参したり、残った食材はビニール袋ではなくコンテーナーに保存したり。なるべくプラスティックのゴミが出ないようにしています。食事はフルーツや野菜はオーガニックを買うようにはしていますが、そこまで制限はしてないですね。今の自分ができることをしていくことが大切だと考えています。」

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野菜を買うのはL.A.のオーガニックマーケットで

―1日の疲れを癒すリラックス方法は?
「バスタイムの時間が大好き!それが一番のリラックス法。湯船に浸かりながら、好きなアロマを手に少しだけつけて、香りをかぎながら深呼吸をしています。そのときつける香りは気分によって買えますが、ラベンダーやローズの香りが好きです。あとは朝の散歩。今、仕事はほとんどがリモートなので、朝起きてすぐパソコンに向かうのがすごくイヤで(笑)。外の空気を吸ってから仕事を始めることが多いです。」

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癒しのバスグッズたち

―リモートで以前よりデジタルに触れている時間も長くなったので、より自然を求めるようになるかもしれないですね。では最後に、ハンナさんが今後、目指していることを教えてください!
「もっとたくさんの人に、Kairaのことを知ってほしいと思っています。でもいわゆる普通のマーケティングをするのではなく、今回のドキュメンタリーのように、海を愛し、守っている人たちのストーリーをシェアしながら、サステナブルな人生をインスパイアしていきたい。そのためのコンテンツづくりをクリエイティブしていくことが目標です。」


自然は私たちの一部。そんな当たり前のことすらも、日常生活を送っているとつい忘れてしまうことがある。
そんなときに、自然を守る人々のストーリーに触れるだけで、明日からのサステナブルアクションは変わってくるだろう。
そのきっかけをつくるために、ハンナさんはドキュメンタリー制作を決めた。
完成は今年の10月予定。今の環境問題のことだけではなく、なぜダイバーたちは海に潜るのか、海を愛する気持ちなどのインタビューも収録しているそう。ハンナさんの想いが詰まった作品、ぜひチェックしてみてください。

Instagram @hannahtomi


Text by Sonomi Takeo

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