2022/02/02

REMEDY

粘膜を守り免疫力UP!風邪予防やアレルギー対策をしよう

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冬は粘膜も乾燥してバリア機能が低下しがち。粘膜をうるおしてケアすることは、風邪予防にもつながります。その仕組みとケア方法をご紹介!


冬に流行る感染症。その理由とは?
冬はお肌をカサカサにするだけでなく、粘膜も乾燥させるためバリア機能は低下。すると風邪などのウイルスが侵入しやすくなってしまいます。
冬に感染症が流行しやすいのはこの乾燥のため。
予防するためには帰宅時の手洗い、うがい、そして外出時はマスク着用などのケアのほか、免疫力を高めておくことが大切です。この免疫力を高めるための一つに、「粘膜うるおわせておく」ということも大事なポイント。
ウイルスだけでなく、これからは花粉の季節。花粉などのアレルギーから体を守るのも、この粘膜をうるおすということが重要になってきます。

日々の生活でウイルスや細菌などの病原体や花粉などの“異物”は、目や鼻、口、腸管などの粘膜から絶えず体内に侵入しようとしてきます。これを最前線で防御してくれるのが「粘膜免疫」です。
粘膜免疫を突破して体内に侵入し、感染してしまったあとに撃退するのが「全身免疫」となります。


あなたの粘膜の状態は健康?
粘膜の健康状態をチェックするのは、
・目が乾燥している
・口内炎がある
・鼻炎や花粉症がある
・気管支炎や喘息がある
・胃炎や胃潰瘍がある
・便秘や下痢がある
・すぐ膀胱炎になる
上記に3つ以上当てはまった場合、粘膜の免疫力が下がっているかもしれません。
ウイルスなどの外敵が、簡単に体内へ侵入できる状態になっている可能性があります。


いい粘膜をつくる栄養素とは?
いい粘膜の状態にしておくには、食事から栄養素を摂ることが大切。
肌や粘膜をうるおすといわれる栄養素がコチラ。

ビタミンA

美肌作りには欠かせないビタミン。身体の細胞の発達に深く関わり、皮膚や粘膜を丈夫にし、鼻、のど、器官などの粘膜をガードする粘液の分泌にも関与しているので、風邪のウイルスを防いでくれます。体内でビタミンAとして働くカロテン豊富なにんじん、さつまいも、ほうれん草、ニラ、レバーなどは、ビタミンAとしてそのまま吸収されるレチノールが豊富です。油脂と一緒に摂取したり、ビタミンEやタンパク質と摂取すると吸収率が高まります。
ビタミンC
抗酸化作用が高く、ストレスやウイルスへの抵抗力を高めて風邪などの様々な病気を予防する効果があるといわれています。フルーツや緑黄色野菜、いも類に豊富に含まれています。
ビタミンE
老化防止のほか、ビタミンAを酸化から守り、その働きをサポートして血行をよくすることで体温調節にも間接的に関わってきます。アボカドやオリーブオイルはビタミンEが豊富です。
タンパク質
ウイルスやストレスを受けるとタンパク質の消耗が激しくなります。また、身体を温める効果もあるので風邪防止にもつながります。卵、大豆類、鶏肉、イワシやアジなどの青魚がおすすめです。
オメガ3脂肪酸
マグロや鮭などの魚に多く含まれるオメガ3脂肪酸によってつくられた粘膜細胞は、攻撃に強く炎症が起きづらいといわれています。ごま油、亜麻仁油、くるみなどからも摂取可能。

そのほか乾燥対策の食養生に適した食品には、きくらげ、くこの実、ゆり根、山いもなどもあります。
古くから風邪予防や喉の薬として民間療法で使われてきた大根飴(細かく角切りした大根をはちみつに漬け込み、一晩置くだけで完成)をお湯で割ったり、そのままスプーンで飲んでも。


腸内環境を整えることも有効
粘膜免疫は、腸内環境とも深く関わってきます。粘膜免疫システムによる感染防御を促すためには、腸管内に生息する腸内細菌叢の働きが影響を与えてきます。
体外と体内を隔てる粘膜面で病原体の体内への侵入をブロックし、感染症予防に重要な役割を担うのが、免疫細胞によって作られる「免疫グロブリンA(IgA)」です。
粘膜表面にこのIgA抗体が多いほど粘膜免疫は増強され、異物が体内への侵入しにくくなるという仕組みです。
このIgA抗体は、ビタミンA、グルタミン、食物繊維を摂ると増えるといわれています。また、生きて腸まで届く「植物乳酸菌」を含む乳酸菌飲料なども有効だともいわれています。


粘膜をうるおすためにするといいこと
大気の乾燥などで上気道の粘膜が乾燥すると、粘膜の防御機能が低下してしまいます。
日常生活で喉などの粘膜を守るためには、

室内を快適な湿度に保つ
室内が乾燥しないように加湿器を使ったり、濡れたタオルを部屋干ししたりしながら室内の湿度を快適にしておく。
こまめに水分補給をする
水分を摂取して喉の粘膜や体内のうるおいをキープ。水分は体を冷やさないように白湯や常温の水を選ぶといいでしょう。
湯船に浸かる
サッとシャワーで済ませがちな方も、お湯をはった湯船に浸かり、意識的に鼻から湯気を吸い込む。リラックスするだけでなく喉、鼻をうるおしてくれます。
などのケアもしていきましょう。

全身免疫を高めることも大切ですが、まずはウイルスなどの体内侵入を防ぐ力を持つことが、健やかに春を迎えるための第一歩!
いい睡眠やバランスがとれた食事を心がけるのはもちろんのこと、サプリメントを活用したり、日常生活で粘膜が乾燥しないためのケアを怠らないことが大切。
毎日実践して、ウイルスから体を守りましょう!



<参考文献>
大塚製薬「乳酸菌B240研究所」
eo健康
metabologenomics
昭和大学

Text by Sonomi Takeo