2022/02/04

FOOD

旬食材辞典|冬の終わりを知らせてくれる「せり」は、貧血や風邪予防にぴったり

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心も体も喜ぶ、旬の食材を紹介していく連載!栄養素や下ごしらえのヒントなど、ビープル的役立つ情報をお届けします。
今回は冬〜春の旬野菜「せり」をピックアップ!




ー今月の旬食材ー
せり
せりといえば、お正月の七草粥を思い浮かべる方も多いのでは?実はせりの旬は正月付近ではなく、冬の終わり〜4月頃になります。数少ない日本原産の野菜のひとつで、奈良時代にはすでに食されていたそうです。三つ葉と似ていますが、三つ葉は葉が3枚なのに対して、せりは5枚。主に宮城県と茨城県で生産されていることがほとんどです。


せりの主な栄養とその効果とは?
ビタミンC
ビタミンCやミネラルの成分が豊富に含まれています。免疫力を高める効果が期待され、活性酸素の働きを抑えることで老化防止や肌のうるおいを保つといわれています。
β-カロテン
せりの葉や茎にはβ-カロテンが豊富。β-カロテンは体内でビタミンAに変換され、活性酸素を抑える効果があり、動脈硬化や心筋梗塞などの生活習慣病から守ってくれるといわれています。また、粘膜や皮膚の細胞を正常に保つための働きや免疫を高める機能も期待できます。
オイゲノール
せりの独特な香りには、オイゲノールなどの成分が含まれており、鎮静効果があるといわれています。
葉酸と鉄分
貧血予防に欠かせない葉酸と鉄分が含まれています。どちらも血液に関わるためこの2つを同時に摂取することで相乗効果がのぞめます。
カリウム
過剰に摂取されたナトリウムを体外への排出を促してくれるカリウム。血圧の上昇を調整してくれる効果があり、高血圧の予防にも役立ちます。
食物繊維
腸内環境を整え、便秘の解消や糖の吸収を遅らせてくれる食物繊維。急激な血糖値の上昇を防ぐ働きがあるので、糖尿病を予防する効能を得ることができます。


せりの栄養を逃さず調理するには?
せりはに含まれるビタミンは熱に弱いため、ゆでると湯に栄養が溶け出してしまいます。ビタミンを余すことなく摂取したい場合は、ゆでた汁ごと食べられスープや鍋がおすすめ。加熱して食べたい時は、加熱時間をできるだけ短くするのがポイント。天ぷらは加熱時間が短いため、栄養が減りにくくおすすめ。衣を薄くつけ、高温の油でさっと揚げればせりの栄養を効率よく摂取できて美味しくいただけます。


美味しいせりを見分ける方法と保存法は?
<見分け方>
葉の色が鮮やかな緑色で、葉も茎もみずみずしくはったものが新鮮な証拠。
葉の先が元気なく丸まっていたり、茎がしなった感触のものは鮮度が落ちています。
<保存方法>
買ってきたらビニール袋から取り出し、濡れた新聞紙に包んでから保存袋に入れ、冷蔵庫の野菜室へ。根っこがついている場合は根の部分を湿らせてキッチンペーパーなどで包んでから保存袋へ入れましょう。
葉物野菜はもともと上へ向かって伸びる習性があるため、立てて保存しておくと傷みづらいです。保存期間は冷蔵庫で2〜3日ですが、時間がたつとせり特有の香りが薄れてきてしまうので、なるべく早く食べるのが望ましいです。

冷凍する場合はせりと洗い、熱湯でさっとゆでて水にとって冷ます。冷めたら水分をぎゅっと絞り、使いたい長さに切ってから冷凍保存袋に平らに並べ、空気をできるだけ抜いて蓋を閉めてから冷凍庫へ。冷凍保存期間は約1カ月です。


春の訪れを知らせてくれる山菜のひとつであるせり。胃を丈夫にしたり、解熱、解毒作用もあるといわれています。寒いうちは鍋、温かくなったら天ぷらやお浸しなどにして、楽しんでみてください。

Text by Sonomi Takeo