2021/02/16

INTERVIEW

【湘南PEOPLE】メキシコ出身・イングリッドさんが鎌倉に移住した理由

メキシコ出身のイングリッド・フェルナンデスさんは、江ノ島や富士山が一望できる稲村ケ崎に住み、目にも美しいハーブ石鹸を手づくりし、販売している。なぜ彼女は鎌倉の地を選んだのか?そして、幼き頃から身近にあるハーブに対する想いとは?


――イングリッドさんはメキシコシティー出身とのことですが、日本に移住したきっかけを教えてください。
「生まれも育ちもメキシコの郊外なのですが、幼少期から日本にいつか行ってみたいと思っていました。前世からの記憶なのでは?と思っているのですが、日本や東洋のものになぜか強く惹かれていたんです。ダンサーとしてNY、日本へ渡り、その後はヨガインストラクターとして活動していました。来日したのは10年前です。」


幼い頃から続けているヨガ

――現在は鎌倉・稲村ケ崎在住とのことですが、来日した時からですか?
「いえ、最初は東京に住んでいたのですが1年と持ちませんでした(笑)。都会は本当に苦手!友人が連れていってくれた鎌倉がすごく気に入り、すぐに移り住みました。鎌倉は山も海もあって、住んでいる人も温かく、面白い人ばかり。何よりメキシコのホームタウンに似た空気を感じるんです。オーガニックやナチュラルなものに対して意識が高い人が多く住む町で育ったので、同じくオーガニックに関心のある人がたくさんいる鎌倉は居心地が良いですね。」

――たしかにメキシコはオシャレでオーガニック食材が多いイメージがあります。イングリッドさんの現在の活動を教えてください!
『Baby shaman herbs(ベイビーシャーマンハーブ)』というブランドで、ハーブの手づくり石鹸やクリスタルを販売しています。すべてフェアトレードで、オーガニックの天然エッセンシャルオイル、ハーブ、花などの植物を原料としていて、添加物も一切使用していません。主にオンラインで販売していて、イベントやワークショップで直接販売することもあります。」




ひとつひとつ、すべて手づくりしている石鹸

――なぜ、ハーブ石鹸づくりをしようと思ったんですか?
「まず、もともと小さい頃からハーブは身近なものでした。母は私が体調を崩しても病院には連れていかず、ハーブティーをよく煎じてくれていました。風邪をひいたらエキナセア、タイム、喉が痛かったらジンジャーティー…といった風に、ケミカルなものは一切取らせなかったんです。メキシコには『メディスンウーマン』というソバドーラ(マッサージ師)もいて、お腹が痛くなったらそこに行って治療することも。そこも自然療法です。そんな風に植物の力を知っているので、関心はずっとありました。」




お部屋の中だけでも約60種類もの植物がある


「とはいえずっとその構想があったわけではなくて、とあるきっかけがあって。私は母や祖母の影響でシャーマニズムの勉強をしているのですが、メキシコからシャーマンの先生に来てもらって、ワークショップを開催してもらったりしていたんですね。そのワークショップで、『私の道は、こっち(ヨガ)だけじゃない』という“イメージが見えた”んです。それから『私は何をするべきなんだろう』とずっと考えているなかで、『石鹸がつくりたい』という想いが沸いてきて、徐々に確信に変わりました。」


メキシコのシャーマニー師匠と鎌倉で開催したワークショップ

――だからブランド名に「シャーマン」が入っているのですね。
「そうなんです! 私がそのワークショップで先生のお手伝いをしていたので、それを見た夫から『イングリッドは“ベイビー”シャーマンだね』と言われて、なんか可愛いなと思って、そこから取ってブランドの名前にしました。シャーマニズムの学びを活かすことでハーブと対話をします。植物とコミュニケーションをとりながら敬意を示し、プロダクトにエネルギーがいっぱい入るようにしながらつくっています。オーガニックココナッツオイルやシアバターなどはバリやガーナ産ですが、ハーブは湘南のものを使用しています。」

「石鹸をつくる」と決めてからハーブの勉強を本格的に始め、イギリスにも留学。その後原料とするオーガニックファームのリサーチを重ね、3年前にブランドオープン。イングリッドさんがつくる石鹸は見た目も可愛く、香り高さも評判だが、「置いておくだけでも癒される」「エネルギーやパワーが他の石鹸とは違う」という声も多い。
「自然の美しさからインスピレーションを受けながら石鹸づくりをしている」というイングリッドさん。普段はどんな暮らしを送っているのだろうか?


――イングリッドさんはとてもヘルシーな印象。どんな一日の過ごし方をしているんですか?
「朝は5時に起きて、瞑想を20〜30分してからハーブティーを飲んで、お散歩をするか、ヨガをします。それから石鹸づくりや仕事をして、夕方からは編み物かサーフィンかな。それからハーブの勉強をして、お風呂に入ったらまた瞑想をして、21時には寝ます!でもこれが理想で、忙しい時は瞑想やヨガはできない時もあるのですが…。普段からエネルギーは高いほうなので、バランスを取るために瞑想やヨガの時間はなるべくとるようにしています。」

――食事はどんなものを食べることが多いんですか?
「私は昔からずっとベジタリアンなので、お野菜をたくさん食べます。地元で鎌倉野菜を買ったり、いろいろな農園から野菜を取り寄せています。ただ夫はお肉を食べるので、たとえばスープをつくったら夫だけお肉を入れて…と分けなければならないのですが。なるべくお肉もオーガニックのものをネットで買ったりと、素材にはこだわっています。」




自然に囲まれ、健やかな毎日を送っているイングリッドさん。それでも落ち込んだり、エネルギーが〝LOW〟に感じることもあるという。

「やっぱり生理前に忙しかったりすると、PMSの症状が出たり、調子は悪くなります。そんな時はヨガや瞑想など静かな時間を意識的につくって、リラックスできるハーブティーを飲んで、ゆったりするように心がけます。あまりにひどい時はCBDオイルを飲んだりすることもありますね。」

――おうち以外で、鎌倉でエネルギーチャージしている場所はありますか?
「サーフィンが趣味なので、やっぱり海!あとは北鎌倉にある建長寺にもよく行きます。ここは私にとってのパワースポット。とてもクリアでエネルギーがキレイなお寺です。」

null
海が一番のエネルギーチャージスポット

ーー最後に、イングリッドさんがこれからチャレンジしたいことを教えてください!
「石鹸やクリスタル以外にも、パフュームやリキッドシャンプーをつくりたいと思っています。今でもトライはしているのですが、なかなか難しくて…。そして、もっとハーブの勉強をしたいです。その時間が私にとってとってもハッピーな時間。That’s my life! 植物の知恵、エネルギーは本当にすごい。これからも日々、探求したいと思っています。」


自分の魂の声をしっかりキャッチをして、心のままに生きること。
イングリッドさんがキラキラと輝いている理由は、きっとそこにある。
とてもシンプルだが、現代人にとってそれが一番難しく感じるかもしれない。
遠い遠い、メキシコという場所から移住して、鎌倉という地を選んだイングリッドさん。
国は違えど、自然の美しさ、自然を想う人々の気持ちは変わらない。 そんな大切なことを、気づかせてくれた。

Text by Sonomi Takeo