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2020/10/15

WELLNESS

脱プラスチックの先進国イギリスの最新ゼロウェスト事情

From Yogajournal Online(Photo by Milada Vigerova on Unsplash)

今世界中で深刻な問題となっているプラスチックごみ。日本もついに2020年7月1日より国内全ての店のプラスチック製のレジ袋有料化が義務付けられましたね。イギリスでは2015年にレジ袋が有料化となり、イギリスでのプラスチックごみに対する意識改革が一足先に行われていました。そこで今回はプラスチック問題についてイギリスよりお届けします。

2015年にプラスチックのレジ袋が有料化となったイギリス。当初はレジ袋1枚5ペンス(約7円)でしたが、現在は1枚10ペンス(約14円)と値上げされました。有料化となりレジ袋の使用は半年間で85%も減少し、1回で捨てられていたレジ袋は1年間で60億枚も削減することに成功しています。

レジ袋の有料化と共に、2018年にはマイクロビーズ(マイクロプラスチック)の使用が禁止されました。マイクロビーズ(マイクロプラスチック)とは、5mm以下の微細なプラスチックのこと。歯磨き粉や洗顔・ボディソープなどのスクラブとして使われており、私たちの身の回りの製品にも多く使用されています。その小さなマイクロビーズが水とともに海に流され、環境や海にいる生き物たちに大きな被害を与えています。流されたマイクロビーズは細かくなる一方で分解されないため、魚などの生き物が飲み込んでしまいます。東京湾で釣ったカチクチイワシの80%の消化管からマイクロビーズ片が検出されたと言われています。また世界の塩ブランドのサンプルからは、90%のマイクロビーズが見つかったと言われています。

1分間で海に流れ込むプラスチック量はトラック一台分。

1年間では1270万トンもの一度しか使用されない使い捨てプラスチックが海に流れ込むそうです。

プラスチックを食べてしまう海鳥は90%以上・ウミガメは52%以上と言われ、海にあるプラスチックゴミの中で80%が使い捨てのプラスチック製品です。


Photo by Antoine GIRET on Unsplash

イギリスのスーパーマーケットの状況

筆者の住む北ロンドンにあるチェーンのスーパーマーケットでは、わずか10週間でショップにある1500種類以上のプラスチックパッケージを取り除きプラスチックを一切使わないプラスチックフリーのゾーンを作りました。食品では野菜やパン・穀物類やナッツ・お肉や魚・チーズやミルク、生活用品からは洗剤や石鹸などからプラスチックが取り除かれました。

その他ロンドンでは、プラスチックフリーやゴミを出さないことを目標にするゼロウェイストショップなどが続々と展開されています。

このようにプラスチックを生活から取り除いていくには、多くの時間は必要がないことを証明しています。2019年、EUでは(イギリスEU離脱前)2030年までに全てのプラスチック包装をリサイクルし、使い捨てプラスチックを削減すると発表しています。大手グローバル企業も2025年までにパッケージ・リサイクル100%を宣言するなど、世界中でプラスチックフリーへの転換のときを迎えています。


cut plastic out ゾーンの野菜売り場


パンコーナー


水やミルクも瓶に入れて購入できる

石油から作られるプラスチック。プラスチックは年間3億トン生産されていると言われ、石油産出量8%も占めています。

プラスチックを生産する際、原料となるモノマー(単量体)をたくさん合わせて高分子のポリマー(重合体)にします。例えばポリエチレンでは、エチレンというモノマーを数万個合わせて、ポリマーにしたのがポリエチレンです。モノマーはほとんど常温で気体か液体ですが、これを数万個合わせると常温で固体となりプラスチックになるという仕組みです。その過程で思い通りの特性をプラスチックに与えるため、様々な化学物質(添加剤)を添加することにより強度があり軽いものなど色々な姿に変わり、丈夫なプラスチック製品になっていきます。この合成するときに、合わせるモノマーが石油や天然ガス、石炭から主に生成されています。

このようにプラスチック製品には添加物が多く汚れも落ちにくいため、そもそもリサイクルできるようには作られていません。

こうしたリサイクルしきれないプラスチックは海外に輸出されていましたが、輸出できなくなった今は日本国内に溜まり続けていると環境省も報告しています。そのため行き場を失くしたゴミは、燃やされたり、埋め立てられたり、最悪な場合自然界に流れ出されます。またポイ捨てやゴミ処理場へ運ばれる過程で環境中に出てしまった後に雨に流され海に流れつくというケースもあります。

この自然分解されない半永久的に残るという特徴があるプラスチックが、私たちが生きている地球の環境、そして人間がいただく魚などの生き物に影響を与えています。


Photo by Marc Newberry on Unsplash

私たちの生活の身近にある紫外線を浴びて脆くなった洗濯バサミやそこから出る白い粉は、プラスチックの劣化のわかりやすい例ではないでしょうか。

まず一人一人が自分の生活を見直し、無意識を意識的に変えていく必要があるのかもしれません。個人のちょっとした心掛けの積み重ねが未来に繋がっていくのではないでしょうか。



出典:脱プラスチックの先進国イギリスの最新ゼロウェスト事情
https://yogajournal.jp


ライター/成瀬美紀
ヨガインストラクター。2010年にピラティス・ヨガを始める。その後、国内外でピラティスやヨガ・サップヨガなどのインストラクター資格を取得し、東京にてインストラクターとして活動。 現在はイギリスロンドンに在住。

Text by 成瀬美紀