2020/08/31

WELLNESS

ヨガとサステナビリティ|サステナブルな暮らしを実現したい人が覚えておきたいヨガの教え

From Yogajournal Online(Photo by Photo by Zen Bear Yoga on Unsplash)

最近よく耳にする「サステナビリティ」。地球環境や貧困、紛争など世界中で起こっている様々な課題、問題を解決し、地球に暮らす全ての人や動物、植物、環境が持続可能であることを意味しています。実はこのサステナビリティーとヨガには繋がりがあるのです。今回はサステナビリティーの実現を目指している筆者が大切にしているヨガの教えをご紹介します。

ヨガの「八支則」の教え


Photo by Simon Rae on Unsplash

「ヨガとは?」その質問に対して一言で表すのはとても難しいことです。古代インドで生まれ、5000年以上の歴史のあるヨガは、時代や国境を超えて様々な形に変化を続けています。古典的なヨガや現代的なヨガとヨガが多様化する世の中ではありますが「ヨガ」と聞くと、多くの方が最初に思い浮かべるのが「アサナ(ヨガのポーズ)」ではないでしょうか。実はアサナはヨガのほんの一部です。

古代インドで生まれ5000年以上の歴史のあるヨガには、「八支則」と呼ばれる段階があります。その教えによると、ヨガの最終段階は「悟り」。ありのままの自分を受け入れる「自己受容」です。その最終段階にたどり着くために、8つの段階がありアサナはその手段の一つです。

ヨガの八支則

ヤマ:他人や物に対して守るべき行動

・アヒムサ:非暴力。肉体的暴力、精神的、言葉の暴力なども振るわない。
・サティヤ:嘘をつかないで正直になること
・アステーヤ:他人から物を盗まない、必要以上の物を取らない
・ブラーマチャリヤ:精神的、肉体的な快楽を求めない
・アパリグラハ:物質欲にとらわれない

ニヤマ:自分に対して守るべき行動

・シャウチャ:自分自身の体と心を常に清潔に保つこと
・サントーシャ:必要以上の贅沢をしない
・タパス:鍛錬すること
・スワディヤーヤ:経典や自分自身に対する学びを深め精神向上を行うこと
・イシュワラプラニダーナ:感謝の念、献身的な気持ちをもつ。神への祈念

アサナ:ヨガのポーズ。意識を体の内側に向けていく。瞑想への準備

プラーナヤーマ:呼吸と体、心を繋げる

プラティヤハーラ:感覚の制御。外からの注意を五感から引き離し安定した精神状態を保つ

ダラナ:集中

ディヤナ :瞑想

サマディ:悟り

ヨガとサステナビリティ


Photo by Simon Rae on Unsplash

ヨガの八支則は奥が深く、その教えを知っているからと言って実践することはそう簡単ではありません。けれど一つ一つを丁寧に実践していくことで「善い行い」を実践していくことに繋がり、サステイナビリティーを実現に近づくことができます。

1. 「今」に集中する

ヨガのレッスンを受けたことがある方であれば、誰もが「ポーズに集中して」、「呼吸に集中して」とインストラクターから指示された経験はあると思います。ヨガを実践する上で「今に集中する」と言うことは、ポーズを正しいアライメントでとることやポーズの効果を最大限に期待することにも繋がります。またポーズ(今)に集中していないと怪我をしてしまうことも。

私たちは、常に過去や未来に囚われてしまい本当に大切な今が見えなくなってしまうことがあります。過去の出来事への後悔や、悲しみ、またまだ起こってもいない未来への不安など…

大切なのは、今どうすることかと言うこと。過去の経験があるからこそ大切な「今」に繋がり、そして今の行動一つ一つがサステナビリティに繋がります。

2. 必要以上にものを取らない

物質的な目に見える物そして、不必要な思考や雑念、欲など含めて不必要な物は手放すようにしています。ミニマリストや断捨離が日本でも定着してしばらくしますが、そういったシンプルな暮らしを実践している人は不思議と清々しく、爽快です。

何も持たない暮らしを実現するのは中々難しいかもしれませんが、本当に必要なモノ、そして大切に長い間使えるモノを手にすることでサステイナブルな暮らしの実現が可能になっていくのではないでしょうか。

3. 足るを知る(サントーシャ)

テクノロジーの進化は私たちの暮らしを快適で便利なものにしてくれました。また、大量生産大量消費の現代社会では、安価な値段で手軽に何でも手に入れることができます。しかし、その中で犠牲のなっているのは地球や動物、また人間です。

「もっと欲しい」、「もっと便利に」、「もっと…もっと…」。物をもっと手に入れること、またもっと便利な暮らしをすることが幸せなのでしょうか。筆者はサントーシャの教えを学び、幸せは物では作れないということに気づきました。

今あるもの、今ここにいること、今呼吸ができていることだけで、充分幸せです。

4. バランスの取れた食事

ヨガの世界では、バランス(中庸)を取ることは大切な考え方。「食べない」また「食べすぎない」という食事においても調和することを重んじます。食べ物は、質素で栄養があり、水分を含み、落ち着かせてくれるもの。COVID-19の影響もあり、日本そして世界で食糧難に危機感を抱いている方も増えている最近、「買いすぎない」、食料ロスを減らすことを実践しましょう。

5. 自分に正直でいる

「善い行い」とは、とてもシンプルなようで、難しい実践です。人によって価値観や考え方は異なり、一概に「これは善い」、「これは悪い」とは言えません。つまり自分が善いと思っていることでも他人や地球、動物から見るとそれが善い行いをしているとは限りません。

ではどうすれば良いのか。筆者は、まずは自分に正直にいること、そして他人へ嘘をつかないように心がけています。自分が善いと思ったこと信じて進むことで、道は開けると信じています。

6. 受け入れる

ありのままの自分を受け入れる、他人を受け入れる。価値観や文化、宗教、考え方、世の中は一人として同じ人はいません。自分だけでなく、他人を受け入れることで、争いもなくなり、平和になると信じています。

ヨガの教えを胸に


Photo by Eneko Uruñuela on Unsplash

本来はとてもシンプルなはずだったのに、サステナビリティーの実現はとても難しい世の中でもあります。それでも、一人一人の心がけで一歩一歩近づいていくのではないでしょうか。ヨガ哲学には、そんな暮らしや世界に繋がるたくさんのヒントがあります。是非、ヨガの教えを胸に行動できる人が増えることを願っています。



出典:ヨガとサステナビリティ|サステナブルな暮らしを実現したい人が覚えておきたいヨガの教え
https://yogajournal.jp

ライター/桑子麻衣子
シンガポール在住8年のライター/Webクリエイター/ヨガインストラクター(全米ヨガアライアンスRYT200保持)。3歳の娘Emmaと夫と3人暮らし。妊娠、出産、育児を経験しヨガを深めたいとインスタクターの資格を取得。Webメディアを中心に記事を執筆しながら、人にも地球にも優しいサステイナブル(持続可能)な暮らしの実践を目指すウェブメディア「House of Emma」を運営。ヨガの教えに基づいた「誰でもどこでもできる」をキーワードに、それぞれの暮らしに寄り添ったエコフレンドリーなファッション、ビューティー、ライフスタイル、ヘルスケア、旅行の提案をしている。 House of Emma: https://house-of-emma.com/

Text by 桑子麻衣子