2020/08/03

INTERVIEW

今、私が追い求める道|プロサーファー・クリエイターの和光大さんが旅を続ける理由

ビープルでも人気のソープメーカー・ドクターブロナーのアンバサダーを務めるプロサーファー・クリエイターの和光 大さんに独占ZOOMインタビューを行いました。 美しい映像が並ぶ彼のSNSに見惚れる方も多いはずですが、そんな彼が今何を見て、何を思うのか…

――まずプロサーファーについて聞かせてください。競技に出ること?見せること?どんな仕事なのでしょうか。
「プロサーファーとしての活動は、競技者として大会に出ることです。でもサーファーとして、大会に出るために、勝つためだけに、サーフィンを練習しているのではなく、豊かになるために普段からサーフィンを楽しんでいます。サーフィンはライフスタイルに近いスポーツで。プロサーファーなら誰でもそうだと思いますが、サーフィンが生活の一部で、朝起きたら顔を洗ったり、歯を磨いたりするアクションと同じなんです。『休日は何をしてリラックスしていますか?』という質問に対して答えると、それもサーフィンで、境界線が曖昧。サーフィンをするとリラックスするし、サーフィンがないとリラックスしないし。大会はそこにスパイスが入る感じかな。また違ったメンタルで望んでいます。」



――競技者としてサーフィンをするようになったのはいつ頃からですか?
「僕がサーフィンを始めたのは、父親が趣味でサーフィンをしていたからなんです。小学校5年生の時。それから1年くらいたった頃に試合に出て、初めてサーフィンの場で同世代の子と会いました。実はそこでボロボロに負けたんです。その日から『勝ちたい!』という気持ちが芽生え、競技人生が始まりました。」

――もともと負けず嫌い?
「相当!泣きわめくくらい(笑)。最初はサーフィンがライフスタイルなんていう意識は全くありませんでした。(競技)スポーツとしてしか捉えていなかったんです。10代を競技者として生き過ぎたせいで、練習練習の日々から、サーフィンをやりたくない時期もありましたね。」

――今のようにライフスタイルに溶け込んでいったのは、何故だったのでしょう。
「ある競技に出たときからなんです。15〜20歳でオーストラリアに留学をしていたのですが、それも全てサーフィンのため。日本でトップ選手になり、世界で戦うために。帰国したら当たり前のようにプロになる道筋を描いていて、ある程度はそのとおり進んでいきました。すぐにプロの試合で優勝したし。でも2、3年経った時に突然、成績が一気に落ちていったんです。もうサーフィンをやめようかと思いながら、もがいた時期が1年ほど続きました。でも自分は競技者だからと、無理やり試合に出ていました。そこでふと、『自分は何をしたいんだろう』そう問うようになりました。深く深く探っていったら行き着いたんです、『サーフィンがしたい』って。10代の頃のように、自分の体力が許す限り、毎日サーフィンがしたいんだと心から思うようになり、向き合い方が変わりました。自分にとって、サーフィンは生活になくてはならないものなのだと認識しました。」



――やっていることが大きく変わったのではなく、気持ちが変わったんですね。
「そうですね。気がづけたことが幸運だったと思います。負け続けて成績もふるわず、メンタル的にも相当落ち込みましたが、結局サーフィンが、また強い自分に持ち上げてくれた感じです。」

――そこからまたすぐに競技人生が始まったのですか?
「いえ、心からサーフィンがしたいという想いから、またオーストラリアに戻りました。試合からも一度距離をおき、自由にサーフィンを楽しむ生活です。でも1年ほど経ったときに、せっかくオーストラリアにいるのだから、もっといろんな世界を見てみようと思ったんです。これまでは試合で遠征に行っても海とステイ先の往復しかしてこなかった。滞在中はサーフィンをしながら、他にもいろんな場所に行こうと思い、旅をするようになりました。そこから、今のような旅をする人生が始まりましたね。」

――旅をする人生が始まり、変わったことはありますか?
「その頃から、競技者としてのサーフィン、そしてライフスタイルの一部としてのサーフィン、2軸で楽しめるようになりました。これまで競技者として一つの道しかなかったけど、どんなことをやっても良いのだと思うようになりました。まだまだですが、より広い視野の中で楽しめるように。だからオーストラリアの国内の試合にも出るようになったんですよ。」

――ブランクは怖くなかったのですか?
「ブランクがあったからこそ、早く出たいというワクワクの方が強かったです。自分は根っからの競技者なんだと再確認しましたね。」

――新型コロナウイルスの影響で、サーフィンができない日々が続きましたよね。
「はい。でも他のサーファーたちよりは、ストレスを感じずに生活をしていたのかも。他にやることがたくさんあったから。」



――今夢中になっていることは?
「映像制作、登山やキャンプ、あとは畑を耕したり!はまっていることは色々あります。自然と触れ合うことかな。」

昨年末、和光さんはドクターブロナーのサポートのもと、世界を旅しながらドキュメンタリー映画「Breath In The Moment」を制作した。和光さんを含む4人の若手プロサーファーたちが、1か月かけてキャンピングカーで生活しながら、モロッコ、ヨーロッパ、アイスランドを巡る旅だ。今を生きることとは何かを追い求め、環境問題・自分らしさ・世界平和など、現代に生きる私たちが考えるべき問題を提起している。(*公開日未定)



――昨年末の旅を含め、多くの旅をSNSで紹介していますが、旅をすることでどんなことを発信していきたいと考えているのでしょう。
「自分が感じたことを伝え、そこから何かを感じる人が一人でも多くいてくれたら嬉しい。僕が発信したものから得る答えもひとつじゃなくて良いんです。答えを共有したいわけではなく、考えるきっかけになったら良いな。そのための映像制作であり、SNSでの発信だと考えています。」



――今は世界を旅するのはなかなか難しいですが、近い将来考えている旅はありますか?
「以前西日本をキャンピングカーで旅したことがあるんです。それは日本のことをよく知りたかったからなのですが、四国で出会ったある方にすごく心を動かされました。その方はもともとゴミ問題について積極的に発信している方だったそうなんです。『捨てるな!もっと考えろ!』と声を上げていたのですが、何かを否定する動きというのは、“ネガティブ”の方がどんどん連鎖していくということを実感したのだそう。そんな時、地元の特産物である藍染に出会い、深く学んでいくうちに、藍染をするには、山も川も海も、自然が美しくなければならないことに気がついたそうなんです。だとしたら、藍染を発信すること自体が、ゴミや環境問題における活動を広めるひとつの手段なのではないかと。ポジティブな広め方ですよね。そんなお話を聞き、日本の文化ってどの国よりもサステナブルなのではないかと思うようになったんです。その仮説が正しいのかはまだ分かりませんが、答えを探し続けるためにも、まずは日本中を旅したいと考えています。」

――1858年から続くソープメーカーとして、人・環境・地球にやさしい製品づくりをしているドクターブロナーは、ビープルでも大人気です。最後に、ブランドアンバサダーとして、オススメを教えてください。
「僕のライフスタイルにはマジックソープが欠かせないんです。1本持っていれば、体も洋服も食器も全て洗えるんですよ。キャンプのときなんかも、荷物はミニマムにしているのでぴったりですよね。香りの種類も豊富で、その日の気分によって変えられます。今はスッキリしたいからペパーミントがオススメ。あとはリラックスできるラベンダーもお気に入りです。ドクターブロナーは環境問題に対するアクションも積極的に行なっていますが、そういうものって出しすぎると、消費者としては受け止めづらいというか、自分ごとにしづらい。ストイックになりすぎると難しいと思うんです。でもパッケージもオシャレで、そういうブランドの想いも素敵に見せているのですごいと思います。見た目から入っても良いですよね。その先は自分たちがアンバサダーとして伝えていけたらと思っています。」



和光さんはプロサーファーであり、サーフコーチであり、そして旅人、映像クリエイター…様々な顔を持つ。しかし一貫して“伝える”という姿勢を貫く。自分が目にしたものの美しさや、偉大さ、意味を考え続け、これからも私たちに問い続けてくれることだろう。そんな彼の問いに対し、私たちが考えることを続けていったら、美しい地球を守ることができるのではないか。できることは必ずあるはずだ。

ドクターブロナーについてはコチラから!

Photo by 和光 大/Text by 関 早保子