コロナウイルス肺炎の世界的な流行によって、少し前まで当たり前に手に入っていたものがなかなか手に入らないという事態に見舞われている方も少なくないかもしれません。シンガポールでサステナブルな暮らしの実現を目指している筆者にはこの経験は、飽食により生産された食品が使われることなく、また食べられることなく破棄される「フードロス」について改めて考えさせる出来事となっています。今あるもので充分に足りている「サントーシャ」Photo by Omid Armin on Unsplashコロナウイルス感染拡大の影響を受け、外出自粛や禁止となっている方も多くいる現在。「外に出られない」という状況下でまず私たちがやることと言えば、スーパーマーケットに行き「飢えを凌ぐための買い物」ではないでしょうか。
買いだめに間に合わなかった人々は、それまで当たり前のように手に入るはずだったものが手に入らない状態になっているかもしれません。そんな時も焦らずに覚えておいておきたいのが、ヨガ哲学の中にある「サントーシャ」という教え。日本語では「知足」と訳され、「足るを知る」という意味を持ちます。
今あるもので充分に満ち足りていて、不足感がなく幸せだということを表すこの教えは、余計なものを持ってしまうことで本当に必要な人にものが渡らなくなってしまうことや、不必要に持ちすぎて廃棄してしまうことを防いでくれます。
大量生産、大量消費社会を生きる私たちは、必要以上に食品を求めすぎ手に取りすぎています。それが「フードロス」という問題へ繋がるのです。足りないと思っていても、実は充分足りているのかもしれません。
フードロスとは「フードロス」とは、食べ残し、売れ残り、期限切れ食品など、本来は食べることができたはずの食品が廃棄されること。日本語では「食品ロス」、「食料ロス」とも言われます。
2019年7月15日に発表された「
世界の食料安全保障と栄養の現状」報告書によると、2018年は世界では推計8億2000万人が十分な食料を得ることができていないことが分かります。貧困や紛争、戦争、また気候変動などの理由から充分な食料が不足している途上国がある一方で、先進国の多くでは大量の食料が生産されていますが全て消費されるわけではなく、余ったものは廃棄されることが多いのです。
これは「持続可能な開発目標(SDGs)」での「2030年までに飢餓をゼロに(ゼロハンガー)」を達成するための大きな課題としても挙げられています。
フードロスをゼロにするために私たちにできること1. 買い物は毎日行かないPhoto by nrd on Unsplash毎日買い物に行くことで、自然と余計に食料を多く購入していることがあります。
「買うつもりはなかったのに、たまたま安売りしていたから”つい”買っちゃった。」と言った具合に。買い物に出かける頻度が多ければ多いほど、その「”つい”買っちゃった」と言う行動に繋がります。
筆者は、週末に1週間の献立をある程度決めて、平日2回、週末1回の週3回買い物に行く日と決めています。毎日買い物に行かないことは、余計な食品を買わずに済むだけでなく、無駄な出費を抑えられたり、買い物に行くための時間を有効的に使えるようになりますよ。
2. 買い物に行く前に冷蔵庫を必ずチェックPhoto by David Ballew on Unsplash買い物前の献立を考える時に必ず冷蔵庫の中身を確認するようにしています。基本的に冷蔵庫に今ある食材を使い切るように献立を考えれば、無駄に食材を期限切れにすることもありません。
冷蔵庫の中が確認しやすいように、常に整理整頓しておくことも重要です。
3. 食材を長持ちさせる方法を知るPhoto by Maiko Kuwako節約や買いだめの結果食品がダメになるといのはよくある話。野菜などの食材は特にダメになりやすく、一人暮らしの方や夫婦2人だけというご家庭の方がパック買いして、結局使いきれずに腐り破棄してしまったという経験をお持ちの方もいるかもしれません。実は新婚当初の筆者がまさにそうでした。
そこで試したのが義理の母に教わった「野菜は水につけると生き返る」というライフハック。とてもシンプルですが、水につけるだけで美しく鮮度を保ってくれます。自然のパワーや生命力を感じるこの方法は主婦の方のみならず、週末しか料理ができないという忙しい方にもおすすめです。
4. 足りないものは代用できないか考えるPhoto by Brooke Cagle on Unsplash購入し忘れや、購入しようと思っていたものが品切れで手に入らなかった場合、無理に購入しようとする前に代用できるものはないか考えてみましょう。
今あるもので充分に食卓は華やいで、充分足りていることに気づけるかもしれません。
5. 家庭菜園を始めてみようPhoto by davide ragusa on Unsplash自宅で食べたいものを育てる「家庭菜園」も、フードロスをゼロにする方法の一つです。需要が減ることで供給も減ります。
これから暖かさが増す春は得に家庭菜園をスタートするのに最適な時期。野菜の多くは、春から初夏に種をまいたり苗を植えたりして育てるんですよ。畑がない、大きなプランターを置くスペースがない方でもミニ野菜などであれば、ベランダなどの小さなスペースで充分育ちます。
自分で愛情を持って育てた食材は格別に美味しいですよ。
必要な人に必要なモノが渡る世の中になりますように
Photo by Fa Barboza on Unsplash先日マーケットで購入したマンゴーを袋に入れて冷蔵庫の上に置いておきました。
「そろそろ食べ頃かな」と思い、手にとった時に袋に水蒸気がついていることに気づきました。「フルーツも生きているんだな」ということを改めて感じ、また生命をもらっていることにとても責任を感じました。喋らなくても、動かなくても、生きていることに変わりはなく、その生命を破棄することは絶対に良くないことであると身の引き締まる思いがしました。
食品は私たちが生きていく上でなくてはならないもの。それはみんなに共通します。必要な人のところに必要な分だけ渡る世の中にするためには、私たちが日頃から意識して取り組むことが第一歩となるのではないでしょうか。
ライター/桑子麻衣子シンガポール在住8年のライター/Webクリエイター/ヨガインストラクター(全米ヨガアライアンスRYT200保持)。3歳の娘Emmaと夫と3人暮らし。妊娠、出産、育児を経験しヨガを深めたいとインスタクターの資格を取得。Webメディアを中心に記事を執筆しながら、人にも地球にも優しいサステイナブル(持続可能)な暮らしの実践を目指すウェブメディア「House of Emma」を運営。ヨガの教えに基づいた「誰でもどこでもできる」をキーワードに、それぞれの暮らしに寄り添ったエコフレンドリーなファッション、ビューティー、ライフスタイル、ヘルスケア、旅行の提案をしている。 House of Emma:
https://house-of-emma.com/
出典:
今すぐ実践!家庭でできるフードロスゼロ|持続可能な未来を実現しようhttps://yogajournal.jp