モデル、Vicenteデザイナーとしての顔はもちろん、妻として、そして母としての顔も持ち、多くの女性から憧れの視線が集まる黒木ナツミさん。そんな彼女が日々忙しく過ごしながらも、女性として輝き続ける理由とはー。――SNSでも可愛らしいお子さんの存在が話題になっていますが、今おいくつになったのでしょうか。「娘は6歳で、もうすぐ卒園を迎えるんです。一人でいろんなことをできるようになってきましたね。」
――子育てをしながら、モデルやデザイナーとしても活躍されているなんて!毎日忙しいのでは?「特に朝はバタバタですね。娘に『朝ごはんは何が食べたい?』と聞くと、パン、ご飯、麺から選んでくれます。それをササっと作って食べさせている間に、ちょっとかわいそうではあるのですが、私はメイクを。『ちゃんと食べてる?』なんて聞きながらなるべく会話をして、メイクが終わるとちょうど娘の食事が終わる頃。歯ブラシして着替えて、すぐ幼稚園へ!子供は朝からパワーがすごいですし、大声が飛び交っています。こちらもエネルギーを使いますね。」
――その後に仕事ですよね。大変!「そうなんです。9時半から10時くらいに会社に着いたときにはぐったりです(笑)。午前中はそのまま撮影をすることが多く、ランチの時間にはお腹ペコペコ。パスタや焼肉など、お腹にたまるものを選んでしまいます。そしてまた午後は打ち合わせや展示会まわりなどでノンストップです。」
――ご自宅に帰るのは何時くらいですか?「18時半頃には帰るようにしています。帰ってからは簡単に丼モノを作ったり、疲れていれば外食で済ませてしまうこともありますよ。毎日のことなので頑張りすぎないように。寝るのは21時半から22時くらい!娘を寝かしつけていると、そのまま一緒に寝ちゃうんですよね。そこからまた起きて何かしようという気にはならない。だから絶対にやらなければいけないことは、子供が寝る前に済ませておきます。お風呂も短いですよ。シャワーだけの日もあるし、疲れすぎていたらシャワーも浴びずにそのまま寝ちゃう時だってあります。そんな時は翌朝急いでシャワーを浴びます。だって睡眠は大事だから!」
そうやって毎日9時間は寝る生活を、笑って話す姿がとてもキュートだ。しかしそれだけハードな日々を過ごしているのも事実だろう。――そもそもデザイナーを始めたきっかけは何かあったのですか?「中学生くらいからやりたいと思っていたんです。だからずっとデザインを書きためていましたね。大学を卒業してすぐ、22歳でモデルになりました。それから数年経って、仕事の関係で書きためていたデザインを見てもらう機会があったんです。トントン拍子でブランドを立ち上げることになりました。25歳の時です。」
――25歳の若さでご自身のブランドを立ち上げるのは、大変だったのでは?「そうですね。でも当時は若さゆえのパワーがありましたし、やりたい!という気持ちだけで体が動いていました。借り入れなんかも怖がることなく(笑)。そして実は立ち上げと同じくらいの時期に結婚もしました。28歳で出産、30歳で自分のブランドを手放し、今はブランド名を変えてデザイナー契約でやらせてもらい、ようやく5年が経ちました。」
――デザイナーとして携わることにした理由は何かあったのでしょうか。「以前は好き勝手に動いていましたが、やはり子供ができたタイミングでライフスタイルが大きく変わりました。子供が第一だから。最初は思うように時間が作れなかったり、やりたいことができないことで、もどかしさを感じることも多かったです。会社を持っていたときは、もちろんスタッフのことも考えたり…気がついたらブランドがプレッシャーになっていた気がします。やりたくても、やっぱりこのデザインはやめておこうかな…とか思い始めてしまって。それって自分らしくないですよね。もともとデザインがやりたかったのに。だから30歳を節目に別の方法を考えようと、一度ブランドを手放しました。娘も3歳になり、保育園に入る時期でもあったので、色々と考える時間もあり…。そして今のデザイナー契約というかたちに落ち着きました。子育てと仕事のペースを少しずつ掴んでいった感じですね。」
――忙しさの中でも一度立ち止まり、自分を見つめ直す時間は必要ですね。スタイルを変えて生活は変わりましたか?「そうですね。大きく変わったのは、食事でしょうか。出産を機に、添加物が気になるようになったんです。それでマクロビオティックの資格を取得しました。実は料理は大の苦手だったのですが、少しずつレパートリーが増えてきましたし、離乳食にも活かしながら、食によって身体のベースを整えることができるようになりました。そこからヨガを始めたり、身体について色々と考えるようになりましたね。だから子供が生まれてからライフスタイルが全く変わったんです。今は風邪もひかなくなりましたよ。」
――ベースが整った今、次はどのような未来を描いていますか?「洋服だけでなく、自分のライフスタイルに沿ったショップをやりたいと考えています。1店舗で良いので路面店を。そしてサステナブルや環境に配慮したものを。サロンのようなイメージかな。そこから得た売り上げの一部をどこかの団体に寄付したり。そんな私らしいものができたら嬉しいな。」
ブランド立ち上げからデザイナーへの移行、結婚、出産…これはわずか10年間の話だ。女性にとって、彼女のような目まぐるしい生活の変化は大いに起こり得ることだろう。そこでどう自分らしくいられるかは、自分次第だ。彼女は変化とともに自分自身を見つめ直し、時に辛いことを愛する家族とともに笑い飛ばしながらも、逃げることなく生きてきた。それが、彼女が輝き続けられる理由なのだろう。
黒木 ナツミ(Instagram:
natsumi0086)
モデル・デザイナー・フードマイスターやヨガイベントの開催など多岐に渡る分野で活躍。1児の母でもあり、自然体ながらも洗練されたライフスタイルは、多くの現代女性の憧れとして注目されている。