ケアしているつもりなのに、なかなか目立たなくならない毛穴。それは、対処法が間違っているかもしれません!
今回は毛穴のタイプ別に、その原因とケア方法をお届けします。毛穴が目立つ三大原因とは?「毛穴が目立ってしまうのが気になる!」という人は多いと思いますが、そもそもその症状や原因は千差万別。
原因に合ったケアをしないと、さらに悪化してしまうということも!
まずは自分がどんなタイプなのかを理解して、ケアしていくことが大切です。
では、どんな原因があるのでしょうか?
お悩みタイプ①毛穴の開き毛穴が開いているように見える原因は、角質の異常(不全角化)と乾燥が原因。
これは毛穴が目立つ原因として最も多いものです。
人によって髪の毛が太い・細いがあるように、毛穴にも大きい・小さいという個人差はありますが、実は毛穴の大きさは広がったりはしません!
毛の出口の大きさは年齢を重ねても同じです。
「不全角化」とは、新しい角質がうまく作れず、角質の不良品が表面に押し上げられてきて凸凹に見える状態のこと。
このような不良品の角質では水分を保持する能力は低く、そのため毛穴の出口の周りは乾いた不良品がめくれるように盛り上がります。
また、皮溝が少なくキメが荒い肌は毛穴が目立ちます。キメが細かい肌は規則的な皮溝が走り、皮溝にかこまれた皮丘がふっくらしたきれいな三角形になっています。この状態だと光が乱反射して光を拡散、毛穴が目立ちません。
お悩みタイプ②毛穴の黒ずみ・詰まり毛穴の黒ずみや詰まりの原因のひとつが、過剰な皮脂の酸化です。これはニキビができる原因と共通するところがあります。ニキビは毛穴の詰まりがスタートだからです。
ニキビが進行する順序は下記です。
1)白ニキビ(閉鎖面皰、コメド):白くプツりとしたニキビ。毛穴に皮脂が詰まったもの。跡になる可能性は極めて低い。2)黒ニキビ(開放面皰):毛穴の表面の汚れや皮脂が酸化して黒ずんでしまったニキビ。跡になる可能性は低い。3)赤ニキビ(赤色丘疹):詰まった皮脂を栄養源としてアクネ菌が増殖・活動し、赤く炎症を起こしているもの。適切な治療をしないと跡になる可能性がある。4)黄ニキビ(膿疱):炎症を自己治癒しようとして膿が溜まってしまったもの。膿はアクネ菌と好中球の死骸です。適切な治療をしないと跡になる可能性が高い。みなさんがニキビを気にしだすのは、この“赤ニキビ”が現れたときです。
上記の2)が、毛穴が目立つ原因になります。
お悩みタイプ③毛穴のたるみ肌が弾力を失い、肌密度が低下することで引き起こってしまうのがたるみ毛穴。顔のたるみが始まると、頬などの毛穴が開いてきたように見える状態です。
主な原因は加齢や紫外線による肌ダメージ、乾燥などによるコラーゲンの減少、ターンオーバーの乱れによるところが大きいです。
若いうちはハリのあるコラーゲンが真皮にぎっしりあり、毛穴をまわりから支えていきますが、加齢でコラーゲン産生が減ってくると毛穴を支える力が低下し、毛穴が開いたように見えてきます。
これを改善させるには、コラーゲンを減らさない努力が必要です。
お悩み別の毛穴対策&ケア方法をチェック!毛穴からは常に皮脂が分泌されています。これは口の中に絶えず唾液があるのと同じなので、スキンケアで分泌される皮脂の量を減らすことはできません。
その皮脂をパックなどで取り出すことはできるのですが、いくら取り出しても無限に出てきてしまうので、意味のないこと。
むしろ、そういったタイプの毛穴パックは角質層まで剥がしとるので、逆効果の場合があります。
毛穴の開きにお悩みの方は・・・角質コントロールでバリアを維持毛穴の開きで悩んでいる方はまず、肌の本来持っている機能を発揮させることができれば、バリア機能は改善し肌内部の保湿力が上がり、外的刺激の影響を受けにくくなります。
バリア機能を正常に保つためには、まず洗い過ぎに気をつけましょう。クレンジング剤や洗顔料に含まれている合成界面活性剤の中には、強すぎてお肌にダメージを与え、バリア機能を低下させてしまう場合もあります。
もともと肌の乾燥を感じている方やマスクで肌荒れしやすい方は特に使用を少なくするのが◎。
乾燥肌の方はできるだけクレンジングを使用しない方がよいですが、もし使用する場合は、ミルクタイプ、クリームタイプ、バームタイプのものを使うのがおすすめ。
<洗顔するときのPOINT>・クレンジングはなるべく使わない(石けんのみで落とせるような、クレンジングを使わないですむメイクに)・ 肌にやさしい純石けんを使う・ 泡だてネットでよく泡立てて、肌をこすらないようにする。・ Tゾーンやあごなど皮脂の多いところから泡をのせ、1分以内で短時間で終わらせる。・ ぬるま湯ですすぐ。(人肌よりも少しぬるいくらい)・ 朝は水かぬるま湯のみにして、なるべく洗顔料は夜のみ使用する。<スキンケアのPOINT>角質コントロールには、ピーリング化粧品や酵素洗顔料(タンパク質を分解する作用を合わせもつ)を使って、厚くなった角質を取り除くことも効果的です。
ただし、角質を取りすぎると逆に悪化したり、乾燥の原因になったりするので、週に1〜2回がおすすめ。
なお、もともと正常で健康な肌の人は使う必要はありません。
そのほか、良質な睡眠も大切!
できれば眠る1時間前にはスマホなどのデジタルはOFFにして、0時前には就寝しましょう。
毛穴の黒ずみ・詰まりにお悩みの方は・・・過剰な皮脂を抑えるインナーケアを毛穴が黒ずんで見えて目立つ原因は、主に4つです。
1.ホルモンバランスの乱れ:皮脂分泌や毛穴の角質肥厚に影響を及ぼす。2.免疫力の低下:アクネ菌の増殖、活性化3.睡眠不足:成長ホルモンの低下、ストレスホルモンの上昇、免疫力の低下4.食生活:動物性脂肪の多い欧米型の食生活このように、乱れた生活習慣が、毛穴の詰まりや黒ずみ、そしてニキビなどにつながります。
ホルモンバランスの乱れも同様です。
男性ホルモンであるテストステロンなどは、皮脂腺細胞の核にある男性ホルモン受容体とくっつき、皮脂の分泌が促進されます。女性も副腎や卵巣から男性ホルモンを分泌しています。そのため、大人女子が睡眠不足やストレスにより男性ホルモンの分泌が増えると、口周りやフェイスラインに黒・赤ニキビが増えて、毛穴が目立つようになります。
女性ホルモンの一種であるプロゲステロンも、皮脂腺に作用して皮脂の分泌を促します。プロゲステロンは月経前に多く分泌されるので、この時期には皮脂の分泌が亢進し毛穴に詰まりやすくなり毛穴が目立ちやすくなります。
現代の食生活は欧米化されていますが、これによる皮脂の増加も考えられます。
そのため、日本のいわゆる「粗食」が美肌にはピッタリです。
<食生活のPOINT>・動物性脂質をとりすぎない。・主食は白米だけでなく、玄米や雑穀米を取り入れる。・抗酸化成分(ビタミン類)が豊富な緑黄色野菜を摂る。暴飲暴食のあとは、皮脂の分泌によって毛穴が目立ちやすくなるのはこのためです。
毛穴のたるみにお悩みの方は・・・コラーゲンを減らさない対策を一度たるんでしまった毛穴は、残念ながら戻りません。ですが、たるみを予防することや、たるみかけた毛穴は改善することが可能です。
たるみ毛穴の予防や改善には、コラーゲンを減らさないことが大切になってきます。
たとえば医療に頼るのも手ですが、一回施術しただけでは一カ月で戻ってしまうことがほとんどです。
できれば日常生活のなかでしっかりケアしていきましょう。
<コラーゲンを減らさないPOINT>●紫外線の過剰な暴露を避ける(紫外線ケアをしっかりする)紫外線には、UV-AとUV-Bの2種類があります。このうち、UV-Aは波長が長いため、肌の奥まで到達し、コラーゲンなどの肌組織を破壊してしまいます。つまり、紫外線対策は、たるみケアに直結するのです。特にUV-Aは厚い雲やガラスも通り抜ける性質を持っているため要注意! 曇りの日や屋内でも油断は禁物です。こまめに日焼け止めを塗り。帽子や日傘などを活用しながら紫外線から肌を守りましょう。
●タンパク質や鉄分をしっかりと摂取する。たるみ毛穴の改善には、食生活を見直すことも効果的。中でも積極的に摂取したいのがタンパク質。肌の弾力を生むコラーゲンやエラスチンはタンパク質の一種。さらに、表情筋を含む筋肉もタンパク質からできています。また、タンパク質と一緒にビタミンCや鉄分も摂取すると、コラーゲンの生成を促すといわれています。
●レチノールやピーリング剤などを適切に用いる。レチノールはコラーゲンの生成を促進する成分といわれているので、普段のスキンケアにプラスしてみてください。また、ピーリング剤は肌代謝を高め、肌全体のエイジング効果をもたらします。
●禁煙する(タバコを1日1箱以上吸う人は、毛穴の開きが年齢以上に進んでいる)タバコによる有害物質は、お肌を老化させる活性酸素を増やしていきます。この活性酸素はお肌のハリ、弾力、潤いを保つために必要なコラーゲンやエラスチンの生成を邪魔してしまいます。そうなると、シワができやすくなったり、毛穴がたるむ原因になります。そのほかタバコを吸っていると美肌づくりに重要なビタミンCの消費、女性ホルモンのエストロゲンの生成や分泌に悪影響を及ぼしたり、新陳代謝が低下するなどお肌トラブルを招いていきます。たるみ毛穴を改善するには、禁煙するのがベストです。
今回は、毛穴対策に必要なケアについて解説しました。
毛穴のお悩みを改善するには、基本のスキンケアだけでなく、食生活や良質な睡眠、紫外線ケアなど、普段から気をつける必要があります。
さっそくできることから始めて、つるんとしたお肌を目指していきましょう!
<教えてくれたのは・・・>西嶌 暁生(にしじま・あきお)(医学博士 形成外科専門医)
福井大学医学部医学科を卒業し医師免許を取得。形成外科及び美容外科を専門とする臨床医として従事。2020年には株式会社ZAIを設立し、医学的根拠に基づいた、安全で効果的な健康・美容サービスと商品を提供し、健康寿命の延長とアンチエイジングを達成することを目指している。著書である
『だから夫は35歳で嫌われる〜メンズスキンケアのススメ〜』(光文社刊)が絶賛発売中。