2021/10/19

REMEDY

腸活の効果、ちゃんと出ている?改めて生活を見直してみよう!

「腸活しているつもりなのに、なかなか改善されない!」という人も多いのでは? 
今回は、腸活サプリ「The Clean」を開発した形成外科/美容外科医・西嶌暁生(にしじまあきお)先生に、腸活にとって大切なことをお話していただきました。


形成外科/美容外科医として活躍しながら、アウターだけでなくインナーからのアプローチを探究し、腸内サプリメント「The Clean」を開発した西嶌暁生先生。
腸内環境を整えることの大切さは常識化してきた今、改めてその大切について、語ってもらいました。

――ここ数年で、“腸活”というワードは浸透してきました。腸内環境を整えることがあらゆる不調の改善にもつながるともいわれていますが、一方で「なかなか改善しない」という声もよく聞きます。それはなぜなのでしょうか?
「目的が明確でないのかもしれないですね。意識が高い人ほど体に良い様々なことを取り入れているのだと思いますが、自分の体の状態を知り、それに合わせて行動できている人は少ないかもしれません。『腸にいい』といわれるものをただ闇雲に取り入れるのではなく、果たしてそれが自分の体の状態にとって本当に必要かどうかを見極めることが重要です。

腸内環境を整えるためには、3つのポイントがあって、
・溜まった毒素を取り除くこと
・善玉菌を入れてあげること
・善玉菌を育てるためのエサを与えること

この3つが大切になってきます。例えばコンビニ食や外食が多い人は、添加物や防腐剤などの毒素が溜まりやすいので、自炊を増やしたり、活性炭が入ったお水を飲んだり、サプリメントなどを活用して毒素の排出を心がけることから始めればいいと思います。腸粘膜の状態が悪い場合は、せっかく必要な栄養素を取り入れても、吸収しづらいので勿体ないです。まずは“出す”ことが大事です。なかなか改善されないと感じるかたは、そういったベースから整えることが大切だと思います。」

――ひとつひとつ、今の自分にとって必要なことから始めればいいんですね。
「そうですね。特に男性は水をあまり飲まない人が多いじゃないですか。食前にコップ一杯の水を飲む習慣をつけるだけでも効果的です。満腹感も得られるので、食べ過ぎも防止できます。シャワーだけでなく湯船に浸かることも大切です。腸の蠕動運動を支配しているのは副交感神経なので、湯船に浸かりリラックスすることや、血の巡りを良くし代謝を上げて腸を活発に働かせることは、腸にとってよいことです。日常生活のちょっとした工夫から腸活は始めることができます。
便通はいいし、お腹に溜まっている感じもしない、という人は、善玉菌を増やすために糠漬けや納豆などの発酵食品を取ることを意識してみたり、野菜が足りていないと感じている人は酵素や食物繊維が取れる生野菜を普段より足してみるとか。食生活が欧米化されている現代では、発酵食品を取らない人が増えています。こういった日本食を意識するだけでも十分に変わってきます。
兎にも角にも、いっぺんに色々とやろうとすると結局効果を感じづらくなり、途中でやめてしまう人も多いのではないかと思います。ご自身の生活習慣を見直して、自分に合った腸活を始めるのがいいのではないでしょうか。」

――先生が普段から腸のために気をつけていることはありますか?
「発酵食品を1日1品目以上食べたり、血糖値スパイクを防ぐような食生活を心がけています。血糖値スパイクとは、血糖値が急上昇と急降下を繰り返すこと。これは糖尿病などのリスクや自律神経の乱れにもつながります。
僕の場合、お米を炊くときに水溶性食物繊維であるイヌリンを混ぜたりします。食物繊維は食後の血糖値の急激な上昇を抑えるのですが、米が精白される過程で、外皮、内皮、胚芽などのビタミンやミネラルを多く含む部分と同時に食物繊維も失われてしまいます。そのため、意識的に食物繊維を入れることで、血糖値の上昇をゆるやかにしています。食べる順番も、野菜やタンパク質を取り入れてから炭水化物を食べます。炭水化物は効率の良いエネルギー源ですし悪ではないのですが、量や食べる順番には気をつけたほうがいいでしょう。
精製された砂糖の摂取も極力控えています。砂糖は消化酵素の無駄使いになるだけでなく、消化されずに残ったショ糖は悪玉菌の栄養源となり、善玉菌を減らし腸内腐敗につながります。その他、腸の負担になりやすいグルテン、カゼインはなるべく控えるようにしています。」

――そもそも、先生は美容クリニックの外科医として活躍されていますが、腸内環境に着目した理由は?
「長年外科医をしていると、同じオペをしても術後の傷の治りが早い人と遅い人がいることに気がつきます。なるべくオペの傷をきれいに治していってあげたいと思っているので、もともと肌細胞活性化の栄養素として、ビタミンA、ビタミンC、ビタミンEの3つの栄養素を意識的に取ってもらったりしていました。それでも人によって差があるのは、インナーにあるのではないか、と思ったのがきっかけです。
そこで栄養解析などの研究をして、どういう栄養素が足りなくて、何を優先してとればいいのかということを考えてきたのですが、そもそも腸の粘膜が整っていないと、栄養をとっても意味が“乏しい”ということに気づいたんです。意味がないわけではないのですが、非効率的だな、と。泥水に何を入れても濁りは消えないですよね。それと同じです。そういったことから、肌の細胞の活性化、皮膚のターンオーバーと腸内環境の関係は切っても切れないということがわかってきました。」

――腸内環境を整えることで、肌の改善にもつながるということですね。
「そうですね。腸内環境が整っていないと、結果的に何かしら皮膚へのデメリットが生じてくると思っています。自分は外科だけでなく皮膚科医としても患者さんを診ることがありますが、ニキビに悩む患者さんは、腸内環境や栄養不足に作用されているケースが非常に多いです。そのほか乾燥、くすみなどの原因にも。腸内がちゃんと働いていれば、有害なものをブロックしてくれるため、未消化の食べ物をきちんと排出してくれて、栄養分はスムーズに肌に伝わります。アトピーやアレルギー体質の方も、腸内環境の悪化が原因かもしれません。リーキーガット症候群(腸の粘膜の細胞間がゆるんで隙間が空き、そこから細菌や毒素、未消化のタンパク質がもれ出している状態)になると、普段なら通過しない分子量の未消化物や毒素が通過してしまい、アレルギーや皮膚炎につながることもあるんです。」

――そのほか腸活することで、どんなことにメリットがあるのでしょうか。
「腸には体内にある免疫細胞の約7割以上が棲んでいると言われています。つまり腸内バランスが崩れることで、免疫力が低下していきます。腸内を整えることは風邪をひきにくい健康な体にもつながるということです。それに、便通がよくなることは単純に体がスッキリしますよね。体が重いとか、倦怠感のほとんどは腸内環境が原因だったりします。そもそも体のデトックスって便が7割以上を担っているんですよ。実は、汗をかくことは5%くらい。それだけ腸内環境を整えることは美容にも健康にもいいことだらけなんです。自分の体の状態を鑑みて、あらゆる情報にとらわれず食生活やライフスタイルの見直しから始めてみてください。」

人間の体の健康・美容は腸内環境にかかっているといっていいほど。
何かの不調を感じたら、腸内の環境を整えてみるのは有用な手です。
そしてその前に、自分にとって大切なものを見極めることを第一歩とするのがいいのかもしれません。
自分ができることから、少しずつ取り入れていきましょう!




西嶌 暁生(にしじま・あきお)
(医学博士 形成外科専門医)
福井大学医学部医学科を卒業し医師免許を取得。
形成外科及び美容外科を専門とする臨床医として従事。
2020年には株式会社ZAIを設立し、医学的根拠に基づいた、安全で効果的な健康・美容サービスと商品を提供し、健康寿命の延長とアンチエイジングを達成することを目指している。

Text by Sonomi Takeo