Biople by CosmeKitchenディレクター・谷口智美と、瞑想を日本に広める「suwaru」代表・石古暢良さんの対談が実現!仕事人間時代に突如襲った病から自分を救ったのは、自身を見つめ直す“瞑想”だったーーBiople by CosmeKitchenディレクター・谷口智美が通う、広尾「
EAT PLAY WORKS」で開催されている瞑想クラス「suwaru」によって、日本でも少しずつ瞑想の意味や素晴らしさが広まっている。しかしまだまだひと握りにすぎない。
谷口自身も瞑想の必要性を感じている一人で、もっと広がってほしいという強い想いのもと、古くからの友人でもある「suwaru」代表の石古さんへのインタビューが決まった。
彼の壮絶な過去とともに、今考えていることを伺った。
――今は瞑想といえば、の石古さんですが、昔は全く違う生活を送っていたんですよね。「実はもともとITおたくの人間でした。ロボティックス、ARの会社で16億ほどを動かしながら15年間、仕事で走り回っていました。今とは真逆の仕事です(笑)。よくあることですが、ストレスでどんどん追い込まれてしまって。睡眠障害を抱えながら、いつも何かに追われている感じで暮らしていたんです。」
――睡眠時間はどのくらいでした?「ショートスリーパーで、3時間くらい。毎日1時〜4時に目が覚めてしまい、朝はコールドプレスジュースを飲みながら、ウォーキングやヨガをしていました。」
――忙しい中でも健康には気を使っていたんですね。「まわりにはヘルシーなライフスタイルを送る友人が多く、自分も自然に健康スイッチが入っていましたね。こういう生活を送っていたら大丈夫だろうと、高を括っていたんです。
でも、2017年に脳梗塞になってしまった。動脈硬化が進み、血管もボロボロに。
『ベジーだし、健康にいいことやっているのに、何故?』って。でもベンチャー経営者って、自分の力で世界を変えられると信じているところがあって、まだその頃はどうにかなると信じてたんですよね。」
――自分を信じながら、どんな生活を送っていたんですか?「生体電位信号を測ったこともあります。例えば、『この人とミーティングすると血圧がこんなに上がるんだ!』とか。そうやって自分の生活を“見える化”しました。
それでも結局また脳梗塞になってしまったんです。次は脳幹に。軽い言語障害と高次機能障害を伴い、つまり複雑なことができなくなってしまいました。これまで、マネジメントとディレクションが得意だったのに、それが全くできなくなってしまって。俯瞰で物事を考えることができないという状態に。」
――仕事はどうされたんですか?「ベンチャーの上場前期に株を売り、全て辞めました。
西洋医学の限界を感じ、自分の生活をもっと東洋医学、アーユルヴェーダにふっていくしかないと思いました。宇宙と繋がるとか、スピリチュアルとか、そんなもの…と思っていた自分が(笑)。」
――それでニーマル先生(※)と出会うわけですね。「実は病気になる前に、一度友人にニーマル先生を紹介してもらったことはあるんです。でも当時は全然信じてなくて(笑)。体を壊してから、改めてニーマルの門戸をたたいたんです。
人間にとって大切なのは、“食・瞑想・ライフスタイル”だということを知りました。」
(※)ニーマル・ラージ・ギャワリ母国ネパールにて、祖父が創立したアローギャ・アシュラムで9歳よりハタヨガの研鑽を積む。15歳より王族やエスタブリッシュ階級の人々へヨガの指導を開始。ハタヨガメディテーション及びアーユルヴェーダを学び、22歳で博士号を取得。20ケ国でヨガメディテーションを教え、2003年来日。RYT500認定講師として本質的なヨガメディテーションティーチャーを100名以上輩出。2019年よりメディテーションテックベンチャーのスワル株式会社を設立。ビジネスパーソン向けの瞑想講座にも力を入れている。――具体的に言うと?「例えば食生活。僕は若い時からベジーでしたが、高血圧なので野菜でも合わないものがあったんですよね。調べてみたら、ネギ、トマト、ニンニク、アボカド、しいたけはダメでした。下仁田ネギ祭りに行くくらいネギが好きだったのに(笑)!緑系の野菜はどんどん食べるように言われました。
ベジーだからと言って、体に良いわけではない。体質によってバランスが違うんですよね。好きだったものが、実は体を蝕んでいることがわかりました。」
――自分を知ることが大事ですね。「本当にそう思います。あとは寝ていないと死ぬと言われました。やることがいっぱいで、寝なかったし、途中で目が覚めてしまうのは、呼吸法などのテクニックがあることを知りました。」
――そして瞑想ですね。「はい。アメリカの研究では、瞑想をするとある特定の部位に血流が集まるという結果が出ています。僕の場合、言語野に血流を集めることで、脳梗塞が改善するはず。そうやってニーマルのアドバイスから“食・瞑想・ライフスタイル”を改善していき、少しずつ血管が修復されてきていきました。その後MRIを受けたら脳梗塞が完全に消えていて!
仕事は全くやらず、売った株で生きていましたが(笑)、この3つのバランスで生きることこそウェルネスなのだと思いました。」
――2019年、瞑想の会社を立ち上げた時の想いは?「日本には困っている人がたくさんいるはずだと思うんです。瞑想によって、2万人の自殺者を半分に減らせるのではと考えました。それで自分自身も助けてもらったニーマルに、日本に残ってもらうよう説得しました。僕は病気になって気づいたけど、普通に生活していたらなかなか自分の体の状態に気づくことができない。それで追い込んでしまっている人が多いんですよね。でも選択肢があることを知ってほしい。西洋医学だけでなく、もっとできることがあるのだから。」
――広尾に構えたサロン設立から2年間、何か変化はありましたか?「瞑想というものが少しずつ広がっている印象を嬉しく感じながらも、言葉だけが先走っていて、瞑想によって何を得られるのかの理解がまだないように感じています。
ヨガはフィットネスやダイエット目的で、しなやかな筋肉を得られるのだと思っている人が多い。でもヨガは瞑想の準備。瞑想とは、目をつぶって無になる行為だけでなく、気づきのレベルが上がり、真実に触れることができる。自己変容のプログラムです。
日本のヨガ人口は700万人を超えると言われていますが、ヨガの先生全員がそれを知って教えてくれたら、日本中に瞑想が広がると思うんです。瞑想はお金を使わずにできるセルフケアのひとつ。やり方さえ身につければ、タダでできることだから、もっと多くの人に知ってもらいたい。」
――自己変容は、日本人は苦手な気がします。「人間を不幸にする最大のポイントは“執着”。愛とかお金とか物とか…そこを捨てきれれば、皆幸せになると思います。日本人は真面目なので、家庭を守らなければいけないなどという責任感とともに、自己変容できないんですよね。それを学べるよう、瞑想のクラスを作りました。」
ニーマル先生のクラス風景――ニーマル先生のクラスについて教えてください。「マインドのセルフケアですよね。意識と感情をしっかり分離させると、生きていても迷いがなくなります。ある意味スピリチュアルかもしれないけど、ライフスタイルとして広がっていけば良いと思っています。それをロジカルに伝えていくメソッドを『ニーマルメソッド』と呼び、ベーシックからボディ、マインドなど、目的別に段階を追って深く学ぶことができます。これを生活の中に上手に組み込めるようになると、幸せの近道になるはず。」
――私も去年から受けていますが、石古さんはご自身で発信すると決意したことがすごいと思います。「何のために残りの人生を歩むのかを考え、挑戦し続けています。ニーマルも同じだと思う。『気付いた人からこの指とまれ!』のスタイルで、瞑想を広め、多くの人に幸せになってもらいたいですね。」
世の中で「良い」とされているものが、必ずしも自分にとって「良い」とは限らない。今の自分の体と心がどういう状態なのか、その本当の声を聞けるのは自分自身だ。自らにフォーカスしてこそ、健康で美しくいられるはず。その方法として瞑想があることを、皆さんにも是非知っていただきたい。
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石古 暢良1964年兵庫県生まれ。
筑波大学在学中にニューヨーク州立大学に留学。卒業後、セゾングループ西洋環境開発を経て大阪のアメリカ村の開発に乗り出し、アメリカ村副会長を努めるとともに、ファッションプランナーなどを務める。
2003年「ミナミメディアズ」設立、2005年ロボット会社「ジャイロウォーク」を設立し、ロボットカフェ、ロボットミュージアムなどをオープン。
2007年撤退し、2011年ITベンチャー企業「アララ」創業。
その後2度の脳梗塞を経験し、事業から手を引く。
「茶室Ryokan」の立ち上げ、画像AI会社の顧問などを経て、2019年瞑想ベンチャー「suwaru」を創業、現在にる。