2021/08/19

ORGANIC DICTIONARY

日常を豊かにする「食べる瞑想」を知ってる?

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「食べる瞑想」という言葉を聞いたことはありますか? 
「食べる瞑想」とは、マインドフルネス瞑想の方法の一つ。今回は「食べる瞑想」について解説。毎日行う「食べること」を通して、マインドフルな生活を送りましょう!



ついつい、「ながら食べ」していませんか?
テレビを見ながら、スマホをいじりながらなど、ついつい「ながら食べ」をしてしまいがち。
食べ物が口の中に入ったばかりなのに、次に口に入れるものを箸でつまんでしまったり、食べ物を十分に味わってないこともあるのではないでしょうか。

実は食べることに集中すれば、呼吸瞑想やボディスキャン瞑想と同じような効果が得られるといわれています。
座禅を組んで瞑想しなくても、日常生活の「食べる」という行為の中で、マインドフルネスを実践できるのです。

食べ物を食べると、感情や思考、満腹感などの身体感覚など、様々な反応が起こります。
「食べる瞑想」をしながらその反応にリアルタイムで気づき、注意深く観察。良い悪いなど判断せずに、ありのままを受け入れていくことが大切です。


マインドフルネスは、「頭を真っ白にする」「何かに集中し続けること」と思っている方がいるかもしれません。
マインドフルネスは、「その瞬間その瞬間に気づき、判断せずにありのまま受け入れること」です。


食べる瞑想の方法
「食べる」という行為をただ空腹を満たすための手段として捉えるのではなく、五感を研ぎ澄ませ、食べ物の感触、匂い、味、食感などを身体全体に感じます。
まずはテレビを消し、スマホも音が出ない状態か手の届かないところに置いて、食事に集中する環境を作りまましょう。

食べる瞑想のやり方は二つあります。

1.フォーマル・バージョン
食べる瞑想を実践する時に正式に行われるのが、「レーズン・エクササイズ」というもの。
レーズンを手に取り、よく観察し、色や形、感触、香りなど五感から感じ取ります。
観察したら口に運び、しばらくは噛まずに舌の動きや唇に当たる感触、口の中に唾液が出たらそれを感じ取ります。
その後にようやく噛み、口の中に広がるレーズンの風味を味わいます。
細かくなるまでよく噛んで味わったら飲み込みます。
その一連の体験で起きる自分の感覚を観察します。

2.アレンジ・バージョン
食べる瞑想は、親しみのあるものほど、新しい発見が生まれるともいわれています。
日本人であればソウルフードともいえるおにぎりが最適。
おにぎりの場合もまずおにぎりの香りを嗅いだり、丁寧に観察します。
おにぎりを一口分だけ口に含んで、残りを元の場所に置きます。
一口分のごはんを噛まずにゆっくり口の中で移動させます。
そして、ごはんの形状の変化を楽しみながら噛み、口の動き、味の変化を観察し、ゆっくりと飲み込みます。
二口目以降も同じように丁寧に味わいながら、時間をかけて食べます。
おにぎりではなくても、ご自身が普段よく食べているもので試してみてください。


食べる瞑想の効果とは
普段無意識に行っていたことを意識化することで、さまざまな体のサインに気づくことができるようになります。
また、「食べる瞑想」を通して、食行動が改善したり、「食べたい欲求が減った」という研究結果もあるそうです。
「食べる瞑想」自体がダイエットになるわけではありませんが、ただ「なんとなく食べる」ではなく、五感を使って食を味わうことで感情のコントロールが可能になり脳の構造が変化したり、「すでに豊かである」ことを思い出し、適正な量を食べられることによって体重が減ることに繋がるのかもしれません。


朝、昼、夜と1日に2〜3回している食事。
知らず知らずのうちに「ただお腹に入れている」という行為になりがちですが、意識的にこの食べる瞑想(マインドフルネス・イーティング)を行うことで、日々をより丁寧に過ごせるようになります。
自分の感覚を繊細にする「食べる瞑想」で、「今自分は豊かな毎日を送っている」ということに気づいていきましょう。



〈参考文献〉
「マインドフルに生きていこう」
心身バランスボール整体

Text by Sonomi Takeo