2021/07/18

ORGANIC DICTIONARY

1日3食は食べ過ぎ?細胞を生まれ変わらせる「オートファジー」の働きとは

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ここ数年、8時間食事術=16日以上、食べない時間を作る「半日断食」が健康にいいと話題となっています。そこで知っておきたいのが、「オートファジー」の仕組み。オートファジーとは一体何なのでしょうか?


オートファジーって何?
2016年に東京工業大学の大隈良典教授が、「オートファジー」の研究によってノーベル医学生理学賞を受け、世界的に注目されました。
オートファジー=Autophagyのautoはギリシャ後で「自己」、phagyはphageなどと同類で「食べる」の意味を組み合わせた言葉で、「自分を食べる=自食作用」と表されます。
このオートファジーは、古くなった細胞を、内側から生まれ変わらせる働きを持っています。


オートファジーはどんな働きをしてくれる?
細胞は主にタンパク質でできています。
日々の生命活動の中で、古くなったり壊れたりしたタンパク質の多くは外に排出されますが、排出しきれなかったものは細胞内にたまり、細胞を衰えさせ、体の不調や病気の原因となってしまいます。
そこで細胞と細胞内の新鮮さを保つために、オートファジーが活躍します。 オートファジーは細胞のなかのタンパク質やミトコンドリア、ときにはバクテリアなどさまざまな物質の一部を「オートファゴソーム」という袋でパクッと取り込んで、分解してくれるのです。
また、外部から栄養が十分に届かないときに、オートファジーによってタンパク質などを食べることで、エネルギー源にするという役割もあります。これは、栄養不足という緊急事態で命を守るための機能です。


オートファジーを働かせるには、内臓を休ませることが必要
オートファジーは、不要なタンパク質を集めて分解し、新たなタンパク質を作ってくれる役割を担っていますが、実は食べ物によって得られた栄養がある状態ではほとんど働きません。
最後の食べ物を口にしてから10〜12時間ほどたつと、肝臓に蓄えられた糖がなくなって脂肪が分解され、エネルギーとして使われ始めます。そして、16時間たつと、ようやくオートファジーが機能し始めるといわれています。
なぜかというと、体や細胞がストレスを受けた際にも生き残れるように体内に組み込まれたシステムで、飢餓状態になったときこそ働きが活発化するからです。

つまり、オートファジーの機能によって体内の細胞が生まれ変わり、不要な老廃物が排出されることで免疫、血管、自律神経などに良い効果をもたらし、肥満の解消にもつながる可能性があります。

さらに一説によると、空腹時に運動や筋トレを取り入れることで、動かした局所のオートファジーがより活性化するともいわれています。


1日3食のライフスタイルを続けていると、内臓は休む間もなくフルで動かしている状態。消化機能が低下し、消化しきれなかった食べ物が腸内に残って腐敗し、腸内環境も悪化してしまいます。 なるべく空腹の時間を設けることで、このオートファジーという機能を発揮させ、細胞を生まれ変わらせていくことで体の不調や老化の予防・改善に役立てましょう。



〈参考文献〉
MBLサイエンス
特選街web「【8時間ダイエットのやり方】オートファジーが働く「空腹時間」が効果 医師がすすめる16時間断食とは」

Text by Sonomi Takeo